第106回医師国家試験 B40(2012年)
正答:d
問題
1歳の女児。発熱を主訴に来院した。2日前から咳と鼻汁とがみられ、昨日の夜から発熱を伴ったため受診した。10か月時に突発性発疹を罹患した際、けいれんがみられ、単純型熱性けいれんと診断された。体温39.0℃。脈拍116/分、整。呼吸数24/分。咽頭に著明な発赤を認める。口蓋扁桃は両側とも腫大しており、白苔が付着している。項部硬直を認めない。診察後、ベッドに仰臥していた患児が、突然けいれんし始めた。
対応として誤っているのはどれか。
a.患児の四肢の動きを観察する。
b.けいれんの持続時間を確認する。
c.患児の周囲にある物を取り除く。
d.患児の口の中に舌圧子を挿入する。
e.患児の顔が上を向いた状態を避ける。
正答の理由
熱性けいれんの既往がある1歳児が発熱中にけいれんしており、熱性けいれんの再発がまず考えられます。発作中は外傷を防ぎ、誤嚥を防ぐために側臥位にし、発作の様子(左右差・焦点性の有無)と持続時間を観察します。舌を守ろうとして口に物を入れることは無益で、歯や介助者の指を傷つける危険があるため行いません。5分以上続く場合は抗けいれん薬(ジアゼパム、ミダゾラムなど)で止めます。
各選択肢の検討
a.患児の四肢の動きを観察する。:適切です。焦点性の特徴(片側だけの動きなど)があれば複雑型熱性けいれんとなり、中枢神経疾患の検索が必要になるため、動きの左右差や部位を観察します。
b.けいれんの持続時間を確認する。:適切です。15分未満なら単純型、15分以上なら複雑型に分類され、5分以上続く発作は薬物で止める対象になるため、持続時間の把握は重要です。
c.患児の周囲にある物を取り除く。:適切です。全身けいれん中は周囲の物でけがをしないよう環境を整え、外傷を防ぎます。
d.患児の口の中に舌圧子を挿入する。:誤っている(正答)。舌を保護しようとする処置は無益で、患者の歯や介助者の指を傷つけるおそれがあります。口の中には何も入れません。
e.患児の顔が上を向いた状態を避ける。:適切です。仰臥位で顔が上を向いたままだと吐物や分泌物を誤嚥しやすいため、側臥位にして顔を横に向けます。
覚えるポイント
けいれん発作時:側臥位で誤嚥予防・周囲の危険物を除く・様子と持続時間を観察。口に物(舌圧子・指)を入れない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Febrile Seizures
- MSD Manual Professional Edition: Seizure Disorders
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。