選択緘黙|第106回医師国家試験A50

第106回医師国家試験 A50(2012年)

正答:e

問題

9 歳の男児。学校で教師や生徒と会話をしないことを指摘され、心配した両親に伴われて来院した。幼稚園の年長のころから、話しかけられてもうなずく程度となり、発語が乏しくなったという。家庭では幼少時から現在まで、家族と普通に会話している。生育歴は言葉の発達が少し遅れた程度で、目立った問題はなかった。成績は中位である。身体診察所見に異常を認めない。

最も考えられるのはどれか。

a.吃音症

b.自閉症

c.学習障害

d.行為障害

e.選択緘黙

正答の理由

家庭では家族と普通に会話できるのに、幼稚園・学校という特定の社会的場面では話しかけられてもうなずく程度で話さない状態が数年続いています。話す能力はあり、成績は中位で、身体所見にも異常がありません。話す能力があるにもかかわらず特定の社会的状況で一貫して話せず、学業や対人関係に支障をきたす選択緘黙(場面緘黙)が最も考えられます。DSM-5以降は不安症群に分類されています。

各選択肢の検討

a.誤り。吃音は音・音節・語の繰り返し、音の引き伸ばし、ブロック(言葉が出ない途切れ)を特徴とする発話の流暢性の障害で、特定の場面だけ全く話さないという症状ではありません。

b.誤り。自閉症(自閉スペクトラム症)は社会的コミュニケーションと対人相互関係の持続的な障害と、限局的・反復的な行動・興味を特徴とし、その困難は家庭を含む場面でみられます。家族と普通に会話でき、場面によって話せる・話せないが分かれる本例とは異なります。

c.誤り。学習障害は知的能力から予想される水準と実際の学業成績に差がある状態で、読字・算数・書字などの困難を示します。成績中位で、発語の場面依存性が主体の本例には当てはまりません。

d.誤り。行為障害(素行症)は他者の権利や年齢相応の主要な社会規範・規則を侵害する行動パターンが繰り返し・持続するもので、本例にそのような行動はありません。

e.正しい。家庭では話せるのに学校など特定の社会的場面で一貫して話せない状態が続き、生活に支障をきたしており、選択緘黙に合致します。

覚えるポイント

家庭では普通に話すのに学校など特定の場面でだけ話さない子どもは選択緘黙(不安症群)を考える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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