第106回医師国家試験 A24(2012年)
正答:e
問題
52歳の男性。健康診断で心雑音を指摘されたため来院した。自覚症状はない。脈拍68/分、整。血圧142/84 mmHg。心エコー図(別冊No. 3A、B)を別に示す。
診断として考えられるのはどれか。
a.左房粘液腫
b.僧帽弁狭窄症
c.大動脈弁狭窄症
d.心房中隔欠損症
e.僧帽弁逸脱症候群


正答の理由
傍胸骨長軸像の収縮期像(No. 3A)で、僧帽弁尖が弁輪を越えて左房側へ膨らむように落ち込んでおり、カラードプラ(No. 3B)では収縮期に左室から左房へ向かうモザイク状の逆流ジェットがみられます。無症状で健診の心雑音を契機に見つかった僧帽弁逸脱と、それに伴う僧帽弁逆流です。粘液腫様変性による弁尖・腱索の延長が主な原因です。
画像の見方
No. 3A(収縮期)で僧帽弁の弁尖が弁輪を越えて左房側へたわむように突出し、左房はやや拡大してみえる。No. 3B(収縮期)のカラードプラでは僧帽弁付近から左房内へ向かう赤・黄・青・緑の混じったモザイク状の逆流ジェットを認める。
各選択肢の検討
a.誤り。左房粘液腫は多くが有茎性で、左房内の可動性腫瘤エコーとしてみえ、拡張期に僧帽弁口へ嵌入することがあります。本図のような弁尖の左房側への落ち込みと収縮期逆流ジェットの像ではありません。
b.誤り。僧帽弁狭窄症は拡張期の弁口狭小化・前尖のドーム形成と拡張期の加速血流が所見で、収縮期の左房への逆流ではありません。
c.誤り。大動脈弁狭窄症では大動脈弁の肥厚・開放制限と求心性左室肥大、大動脈側への収縮期加速血流がみられ、左房へ向かう逆流は主所見ではありません。
d.誤り。心房中隔欠損症では心房間の左右短絡と右房・右室の容量負荷(拡大)がみられ、傍胸骨長軸像で僧帽弁尖が左房へ落ち込む所見とは異なります。
e.正しい。収縮期に僧帽弁尖が左房側へ逸脱し、左房への逆流ジェットを伴うことから僧帽弁逸脱症候群です。
覚えるポイント
収縮期に僧帽弁尖が弁輪を越えて左房へ落ち込む→僧帽弁逸脱。収縮中期クリック±収縮後期雑音、合併症は僧帽弁逆流・腱索断裂・感染性心内膜炎。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Mitral Valve Prolapse (MVP)
- MSD Manual Professional Edition: Cardiac Tumors
- MSD Manual Professional Edition: Mitral Stenosis
- MSD Manual Professional Edition: Aortic Stenosis
- MSD Manual Professional Edition: Atrial Septal Defect (ASD)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。