羊水塞栓症|第106回医師国家試験A11

第106回医師国家試験 A11(2012年)

正答:b

問題

羊水塞栓症について正しいのはどれか。

a.未破水例に多い。

b.播種性血管内凝固を伴う。

c.母体の予後は良好である。

d.産婦の下腹部は板状硬となる。

e.妊娠高血圧症候群に合併しやすい。

正答の理由

羊水塞栓症は、分娩時に羊水・胎児成分(胎児抗原)が母体循環に入り、炎症性カスケードが一気に活性化されて低酸素・低血圧(心肺虚脱)と凝固障害を起こす産科救急です。凝固系の活性化により播種性血管内凝固(DIC)を高率に伴い、大量出血につながります。

各選択肢の検討

a.未破水例に多い。誤り。全国登録46例では70%が分娩中、11%が経腟分娩後、19%が帝王切開での児娩出後に発症しており、発症は分娩経過中とその直後に集中します。未破水の妊娠中に多いという特徴はありません。

b.播種性血管内凝固を伴う。正しい。低酸素・低血圧と並ぶ三徴の一つが凝固障害で、炎症反応が凝固カスケードを起動してDICを生じます。

c.母体の予後は良好である。誤り。致命率の推定は約20〜90%と幅があり(人口ベース研究のレビューでは11〜43%、全国登録では61%)、分娩中の突然死の主要原因の一つです。

d.産婦の下腹部は板状硬となる。誤り。子宮の板状硬・圧痛は常位胎盤早期剝離の所見です。羊水塞栓症は呼吸困難・ショック・出血傾向で発症します。

e.妊娠高血圧症候群に合併しやすい。誤り(公式の正答はb)。妊娠高血圧症候群の典型的合併症は常位胎盤早期剝離・子癇・HELLP症候群です。ただし疫学研究では子癇・既存高血圧が羊水塞栓症の危険因子として報告されており、関連が全くないわけではない点は留保します。

覚えるポイント

羊水塞栓症は分娩時の急激な呼吸循環虚脱+DICで母体死亡率が高い。板状硬の子宮は常位胎盤早期剝離。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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