末梢性顔面神経麻痺の原因|第106回医師国家試験A10

第106回医師国家試験 A10(2012年)

正答:d

問題

顔面神経麻痺をきたしにくいのはどれか。

a.耳下腺癌

b.側頭骨骨折

c.顔面神経鞘腫

d.滲出性中耳炎

e.真珠腫性中耳炎

正答の理由

顔面神経は内耳道から側頭骨内(顔面神経管)を走り、中耳腔の内側壁を通って茎乳突孔から出たのち耳下腺内で分枝します。この経路を破壊・圧迫・浸潤する病変(側頭骨骨折、真珠腫、顔面神経鞘腫、耳下腺悪性腫瘍)は麻痺を起こします。滲出性中耳炎は耳管機能不全による無菌性の中耳貯留液で、症状は伝音難聴・耳閉感が中心であり、骨破壊も強い炎症も伴わないため顔面神経麻痺をきたしにくい疾患です。

各選択肢の検討

a.耳下腺癌。誤り。悪性腫瘍(とくに腺様嚢胞癌)は神経周囲浸潤を起こしやすく、顔面神経麻痺を伴うことが悪性を示唆する所見です。

b.側頭骨骨折。誤り。錐体骨(側頭骨)骨折は顔面神経管内の神経を損傷し、末梢性顔面神経麻痺の原因として挙げられます。

c.顔面神経鞘腫。誤り。顔面神経そのものから発生する腫瘍で、神経機能障害(顔面神経麻痺)や聴力障害の原因となり、治療でも顔面神経機能の温存が主題になります。

d.滲出性中耳炎。正しい(きたしにくい)。耳管機能不全による中耳貯留液で、症状は伝音難聴・耳閉感が主体です。骨破壊や化膿を伴わず、顔面神経麻痺は通常起こしません。

e.真珠腫性中耳炎。誤り。真珠腫は骨を破壊しながら進展し、顔面神経管が侵されると顔面神経麻痺を起こします。

覚えるポイント

骨破壊(真珠腫・骨折)や浸潤(耳下腺癌・神経鞘腫)は顔面神経麻痺を起こし、滲出性中耳炎は難聴のみが主症状。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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