第106回医師国家試験 A7(2012年)
正答:e
問題
Monoclonal gammopathy of undetermined significance〈MGUS〉について正しいのはどれか。
a.貧血をきたす。
b.溶解性骨病変をきたす。
c.多発性骨髄腫には移行しない。
d.血清 M 蛋白量は 3 g/dl 以上である。
e.M 蛋白以外の免疫グロブリン量は正常である。
正答の理由
MGUSはM蛋白を認めるものの、血清M蛋白が3 g/dL未満、骨髄のクローナル形質細胞が少なく、貧血・溶骨性病変・腎障害がない状態です。多発性骨髄腫ではM蛋白以外の(非関与)免疫グロブリンが低下し感染対策が問題になりますが、MGUSは典型的にはこれを伴わないとされ、公式正答はeです。ただしMGUSでも一部に非関与免疫グロブリンの低下(immunoparesis)がみられ、進展リスクが高い群ほど目立つと報告されているため、「必ず正常」ではなく「骨髄腫と比べて保たれるのが典型」と理解します。
各選択肢の検討
a.貧血をきたす。誤り。貧血・溶骨性病変・腎障害がないことが、MGUSを骨髄腫など悪性形質細胞疾患と区別する条件です。
b.溶解性骨病変をきたす。誤り。溶骨性病変は骨髄腫の臓器障害(CRAB)であり、MGUSではみられません(骨量減少・骨折リスクの上昇は指摘されています)。
c.多発性骨髄腫には移行しない。誤り。年約1%(長期で最大約25%)が骨髄腫や原発性マクログロブリン血症、ALアミロイドーシス、リンパ腫へ進展するため、経過観察が必要です。
d.血清 M 蛋白量は 3 g/dl 以上である。誤り。MGUSの血清M蛋白は3 g/dL未満で、骨髄腫より少ないことが区別点です。
e.M 蛋白以外の免疫グロブリン量は正常である。正しい。典型的なMGUSでは骨髄腫のような非関与免疫グロブリンの低下を伴いません(ただし進展リスクの高い例では低下がみられることがあります)。
覚えるポイント
MGUSはM蛋白3 g/dL未満・臓器障害なし・年約1%で骨髄腫などへ進展、と数字と進展率で覚える。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第106回医師国家試験問題および正答
- MSD Manual Professional Edition: Monoclonal Gammopathy of Undetermined Significance (MGUS)
- MSD Manual Professional Edition: Multiple Myeloma
- Pika T, et al. Immunoparesis in MGUS – Relationship of uninvolved immunoglobulin pair suppression and polyclonal immunoglobuline levels to MGUS risk categories. Neoplasma. 2015(抄録)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。