心不全の聴診所見(Ⅲ音)|第106回医師国家試験A1

第106回医師国家試験 A1(2012年)

正答:a

問題

心不全に特徴的な心臓の聴診所見はどれか。

a.Ⅲ音

b.駆出音

c.大砲音

d.クリック音

e.心膜ノック音

正答の理由

Ⅲ音は拡張早期の急速流入期に、拡張末期圧が上昇し拡大した心室へ血液が流れ込む際に生じる低調な過剰心音です。40歳頃までの若年者や妊婦では生理的にも聴かれますが、成人では左室収縮不全(HFrEF)でみられる代表的な所見で、心不全の身体所見として重視されます。

各選択肢の検討

a.Ⅲ音。正しい。成人のⅢ音は心室機能障害を示し、有意な左室収縮不全では通常聴取されます。HFrEFの身体所見として挙げられる代表的な過剰心音です。

b.駆出音。誤り。収縮早期の高調なクリックで、先天性大動脈弁狭窄・肺動脈弁狭窄や、肺高血圧での拡張した肺動脈で生じます。心不全そのものに特徴的な所見ではありません。

c.大砲音。誤り。完全房室ブロックなど房室解離で、心房収縮と心室収縮のタイミングが偶然一致したときに突然大きく聴こえるⅠ音です(頸静脈では cannon a 波)。心不全を示す所見ではありません。

d.クリック音。誤り。収縮中期〜後期のクリックは僧帽弁逸脱症で、延長した腱索・弁尖が急に緊張して生じます。

e.心膜ノック音。誤り。収縮性心膜炎で、硬い心膜により拡張早期の心室充満が急に止められて生じる大きな拡張早期音です。

覚えるポイント

成人のⅢ音は心不全(収縮不全)、収縮中期クリックは僧帽弁逸脱、心膜ノックは収縮性心膜炎、大砲音は完全房室ブロックと対応させる。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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