第105回医師国家試験 I66(2011年)
正答:b
問題
70歳の男性。物忘れを心配した娘に伴われて来院した。3年前に妻と死別し、現在は娘夫婦と同居している。1年前から物忘れが目立つようになり、徐々に進行した。半年前から「妻が赤い服を着て現れる」と言うようになった。表情は乏しく、暗算をさせると右手がふるえて、手関節に筋強剛がみられる。Mini-Mental State Examination(MMSE)では15点(30点満点)である。
この患者の診断に最も有用なのはどれか。
a.脳波検査
b.脳SPECT
c.頭部MRA
d.脳脊髄液検査
e.頭部造影MRI
正答の理由
進行性認知症に具体的な幻視とパーキンソニズム(振戦・筋強剛)が加わり、Lewy小体型認知症が疑われる。脳血流SPECTでの後頭葉の血流低下は診断を支持する所見である。
各選択肢の検討
a.脳波検査てんかん性活動や代謝性脳症の評価には用いるが、本例の認知症とパーキンソニズムの鑑別に最も有用な検査ではない。
b.脳SPECT 正答。脳血流SPECTで後頭葉の血流低下を認めることがあり、Lewy小体型認知症の鑑別に有用である。現在のドパミントランスポーターSPECTも支持的検査だが、2011年の本問では脳血流SPECTを考える。
c.頭部MRA 脳血管の評価が目的であり、変動する認知機能・幻視・パーキンソニズムを特徴とする本例の病態評価には直結しない。
d.脳脊髄液検査髄膜炎や炎症性疾患などを調べる検査で、典型的Lewy小体型認知症の確定に用いる検査ではない。
e.頭部造影MRI 腫瘍・炎症などの器質病変を調べるが、Lewy小体型認知症の特徴的なドパミン作動性低下は評価できない。
覚えるポイント
認知症、具体的幻視、パーキンソニズムからLewy小体型認知症を疑い、脳血流SPECTでは後頭葉の血流低下に注目する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第105回医師国家試験問題および正答
- Diagnosis and management of dementia with Lewy bodies: Fourth consensus report of the DLB Consortium
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。