循環器:心不全の生活指導|第105回医師国家試験H32

第105回医師国家試験 H32(2011年)

正答:a

問題

64歳の男性。労作時の息切れを主訴に来院した。

現病歴:半年前から立ち仕事で疲れやすくなったが、年のせいだと思い医療機関を受診していなかった。1か月前から階段を昇るときの息切れが強くなり、徐々に増悪してきた。

既往歴:50歳台のとき健康診断で肥満と高血圧とを指摘されたが、医療機関は受診していない。

生活歴:自営業。喫煙は20本/日を44年間。飲酒は日本酒換算で2合半/日を30年間。

家族歴:特記すべきことはない。

現症:身長159 cm、体重78 kg、腹囲94 cm。体温36.8℃。呼吸数26/分。脈拍104/分、不整。血圧168/92 mmHg。頸静脈の怒張を認める。両側下肺野にcoarse cracklesを聴取する。両側下腿の浮腫を認める。

検査所見:血液所見:赤血球406万、Hb 13.7 g/dl、Ht 41%、白血球8,700、血小板26万。血液生化学所見:血糖108 mg/dl、HbA1c 5.5%(基準4.3~5.8)、総蛋白6.4 g/dl、アルブミン3.6 g/dl、尿素窒素19 mg/dl、クレアチニン1.0 mg/dl、LDLコレステロール126 mg/dl(基準65~139)、HDLコレステロール38 mg/dl、トリグリセリド286 mg/dl、AST 48 IU/l、ALT 46 IU/l、LD 346 IU/l(基準176~353)、ALP 358 IU/l(基準115~359)、γ-GTP 76 IU/l(基準8~50)、Na 136 mEq/l、K 4.1 mEq/l、Cl 101 mEq/l。CRP 0.3 mg/dl。心電図で心房細動を認める。胸部エックス線写真で心胸郭比64%。

治療を開始するにあたり、行うよう指導すべき生活習慣として適切でないのはどれか。

a.運動

b.禁煙

c.塩分制限

d.エネルギー摂取制限

e.アルコール摂取制限

正答の理由

本例は呼吸困難、頻呼吸、頸静脈怒張、肺うっ血、浮腫を伴う未治療の症候性心不全で、まずうっ血を是正する段階である。初期に運動を勧めるのは適切でなく、心不全が安定した後に状態に応じて心臓リハビリテーションを導入する。 2011年の本問の正答を、現在の安定した慢性心不全でも運動が禁忌であるという意味に一般化しない。

各選択肢の検討

a.運動。誤り。未治療でうっ血所見のある本例では、安定化前に運動を勧めるのは不適切である。

b.禁煙。正しい指導。喫煙は心血管リスクを高めるため禁煙を勧める。

c.塩分制限。正しい指導。過剰な塩分摂取を避け、うっ血の管理に努める。

d.エネルギー摂取制限。正しい指導。BMIは約30.9で肥満があり、適正なエネルギー摂取を指導する。

e.アルコール摂取制限。正しい指導。1日2合半を30年間の飲酒歴があり、心筋障害の原因にもなりうるため制限を指導する。

覚えるポイント

運動療法は心不全が安定してから行い、急性増悪・うっ血がある時期は安静と治療を優先する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第105回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました