第105回医師国家試験 H21(2011年)
正答:d
問題
33歳の男性。1か月前に交通事故で搬入された。同日、腹部大動脈損傷の診断で血管置換術を受け、術後に両下肢の完全麻痺が出現した。両下肢は現在も完全麻痺のままで、肛門周囲の感覚脱失を認める。
現時点の対応として適切なのはどれか。
a.脊髄の手術を勧める。
b.歩行を治療目標として示す。
c.社会復帰のための退院を勧める。
d.患者の反応を見つつ麻痺の予後を説明する。
e.体幹に関する運動療法メニューを提示する。
正答の理由
急性期後も完全麻痺が続き肛門周囲感覚も消失している。予後に関する説明は患者の受け止めを確かめながら慎重に行い、希望を一方的に断つことも、歩行回復を確約することも避ける。
各選択肢の検討
a.脊髄の手術を勧める。誤り。受傷から1か月後の完全麻痺に対し、根拠なく手術を勧める時期・病態ではない。
b.歩行を治療目標として示す。誤り。歩行を回復すると断定的に示せる情報はない。
c.社会復帰のための退院を勧める。誤り。退院先は機能・環境・患者の希望を評価して決める。
d.患者の反応を見つつ麻痺の予後を説明する。正しい。予後は不確実性に配慮し患者の受け止めを確かめながら説明する。
e.体幹に関する運動療法メニューを提示する。最も適切な対応ではない。体幹運動は残存機能に応じて検討するが、本問ではまず患者の受け止めを確認しながら障害と予後を説明し、目標を共有する。
覚えるポイント
脊髄損傷後の機能予後を伝える際は、残存機能と経過を踏まえ、本人の反応を確認しながら説明する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第105回医師国家試験問題および正答
- Guidelines for neuroprognostication in adults with traumatic spinal cord injury
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。