第105回医師国家試験 G63(2011年)
正答:a
問題
15歳の女子。いらいらして暴力を振るうことを心配した母親に伴われて来院した。
現病歴:中学2年になり、友人関係でトラブルが起こったころから食欲がなくなり、学校を休みがちになった。自分の部屋でいやな友人の顔が浮かぶと、そのときしていた行為を最初からやり直すようになった。不潔になったことを気にして頻回に手を洗うようになった。その後も学校では普通の生活を送っていたが、家では自分だけでなく母親に同じ言葉や行動を繰り返させ、母親が正確にやり直せないとパニックを起こしたり、暴力を振るったりするようになった。
生育歴:3歳時に両親が離婚し、母親と弟との3人暮らし。小学校では成績も優秀で友人も多く、何事にも積極的な性格であった。中学で進学校に入学し、学業とスポーツに打ち込んでいた。
現症:意識は清明。身長156cm、体重49 kg。体温36.2°C。呼吸数16/分。
脈拍72/分、整。血圧98/60mmHg。皮膚は冷たく乾燥している。手が荒れている。
検査所見:尿・血液検査所見に異常を認めない。
薬物治療として第一選択になるのはどれか。
a.選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
b.非定型抗精神病薬
c.中枢神経刺激薬
d.気分安定薬
e.睡眠導入薬
正答の理由
反復する洗浄や行為のやり直し、母親に同じ行動を求める症状は強迫症に合う。設問は薬物治療を問うため、SSRIが第一選択となる。小児では専門医が評価し、症状と有害事象を慎重に観察する。
各選択肢の検討
a.選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) 正しい。強迫症の薬物療法ではSSRIが第一選択となる。小児では専門的評価と副作用の慎重な観察が必要である。
b.非定型抗精神病薬抗精神病薬は単独の第一選択薬ではなく、難治例などで増強療法として検討する。
c.中枢神経刺激薬中枢神経刺激薬はADHDなどに用いられ、強迫症の標準的薬物療法ではない。
d.気分安定薬気分安定薬は双極性障害等に用いられ、強迫症の第一選択ではない。
e.睡眠導入薬睡眠導入薬は強迫症状を治療せず、依存や鎮静等の懸念もあり第一選択ではない。
覚えるポイント
反復する洗浄や行為のやり直し、母親に同じ行動を求める症状は強迫症に合う。設問は薬物治療を問うため、SSRIが第一選択となる。小児では専門医が評価し、症状と有害事象を慎重に観察する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第105回医師国家試験問題および正答
- Recommendations: Obsessive-compulsive disorder and body dysmorphic disorder: treatment
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。