第105回医師国家試験 D58(2011年)
正答:d
問題
67歳の男性。進行喉頭癌と診断され、昨日、甲状腺全摘を含む拡大手術を受けた。今朝から両手のしびれ感を訴えている。手指の有痛性筋攣縮を認める。
輸液に加えるのはどれか。
a.Na
b.K
c.Cl
d.Ca
e.P
f.Mg
g.Cu
h.Fe
i.Zn
正答の理由
甲状腺全摘後に両手のしびれと有痛性筋攣縮が出現しており、副甲状腺機能低下による急性低カルシウム血症が疑われる。輸液にカルシウムを補充する。
各選択肢の検討
a.誤り。ナトリウム補充は低ナトリウム血症などで検討するもので、術後テタニーを起こす低カルシウム血症の治療ではない。
b.誤り。カリウム補充は低カリウム血症に対するもので、手指の有痛性筋攣縮を伴う術後低カルシウム血症を補正しない。
c.誤り。塩化物補充はこの術後のしびれ・テタニーを改善する電解質補充ではない。
d.正しい。甲状腺全摘後の副甲状腺機能低下で低カルシウム血症となり、テタニーにはカルシウムを速やかに補充する。
e.誤り。副甲状腺機能低下ではリンはむしろ高値になりやすく、リン補充は低カルシウム血症を悪化させうる。
f.誤り。低マグネシウム血症は低カルシウム血症を伴うことがあり測定・補正は重要だが、術後テタニーの第一に補う電解質はカルシウムである。
g.誤り。銅補充は銅欠乏症に対するもので、術直後のテタニーを治療しない。
h.誤り。鉄補充は鉄欠乏性貧血などに用い、低カルシウム血症による神経筋興奮性亢進を改善しない。
i.誤り。亜鉛補充は亜鉛欠乏症に対するもので、術直後のテタニーに適応しない。
覚えるポイント
甲状腺全摘後のしびれ・テタニーでは副甲状腺機能低下による低Ca血症を考え、血清Caを確認し必要時速やかに補充する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第105回医師国家試験問題および正答
- Society for Endocrinology Endocrine Emergency Guidance: Emergency management of acute hypocalcaemia in adult patients|Endocrine Connections
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。