第105回医師国家試験 C17(2011年)
正答:a
問題
17 69歳の男性。夕食中に突然、頭痛と気分不良とを訴え、1時間後に家族に伴われて来院した。5年前から降圧薬を服用している。意識はやや混濁しており、頻繁に嘔吐している。四肢に麻痺を認めない。頭部単純CT(別冊No.3)を別に示す。
急速な進行が予想されるのはどれか。
a.意識障害
b.四肢麻痺
c.感覚障害
d.血圧低下
e.体温上昇

正答の理由
公式正答はaです。別冊No.3では小脳内に大きな高吸収域があり、小脳出血を示します。後頭蓋窩は容積に余裕が小さく、血腫による脳幹圧迫や第四脳室閉塞から水頭症を生じると、意識障害が急速に進行し得ます。
画像の見方
小脳内に大きな高吸収域があり、後頭蓋窩の占拠性出血と判断できる。
各選択肢の検討
a.意識障害。正しい。CTでは小脳出血があり、後頭蓋窩で血腫が拡大すると脳幹圧迫や閉塞性水頭症を来し、意識が急速に悪化し得ます。
b.四肢麻痺。誤り。小脳自体は運動の協調を担うため、出血で失調を来します。脳幹圧迫が進めば麻痺も起こり得ますが、本例で急速な進行を警戒する中心所見は意識障害です。
c.感覚障害。誤り。体性感覚路の障害は主に大脳・視床・脳幹などで生じます。小脳内の出血では、感覚障害より脳幹圧迫や水頭症による意識悪化を警戒します。
d.血圧低下。誤り。血圧低下は出血性ショックなどを示す所見ですが、この症例の後頭蓋窩病変から予測する急速な神経学的悪化ではありません。
e.体温上昇。誤り。発熱は脳卒中後にも起こり得ますが、血腫による脳幹圧迫や水頭症に伴う急な意識低下より優先される進行ではありません。
覚えるポイント
小脳出血では後頭蓋窩の狭さが急変の理由になります。頭痛・嘔吐の後に意識が悪化する経過を見逃さず、脳幹圧迫と水頭症を評価します。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。