第105回医師国家試験 A60(2011年)
正答:C
問題
70歳の男性。急に右上下肢が動かなくなったため、発症から1時間後に搬入された。
意識レベルはJCS I-2。全失語と右片麻痺とがみられる。脈拍88/分、不整。血圧152/94mmHg。既往歴に高血圧と心房細動とがある。頭部MRIの拡散強調像(別冊No.23A)と頭部MRA(別冊No.23B)とを別に示す。
診断はどれか。
a.アテローム血栓性脳梗塞
b.出血性脳梗塞
c.心原性脳塞栓症
d.中大脳動脈解離
e.椎骨動脈解離
f.脳動脈瘤破裂
g.被殻出血
h.皮質下出血
i.もやもや病


正答の理由
突然発症の失語と右片麻痺は左大脳半球の急性脳血管障害を示します。拡散強調像とMRAは左中大脳動脈領域の急性閉塞を示し、不整脈と心房細動の既往から心原性脳塞栓症が最も考えられます。発症1時間であり、出血除外後に静注血栓溶解療法や血管内治療の適応を直ちに評価する必要があります。
画像の見方
拡散強調像で左中大脳動脈領域に急性梗塞を認め、MRAで対応する主幹動脈閉塞を示す。
各選択肢の検討
a.アテローム血栓性脳梗塞:頸動脈・主幹動脈の高度粥状硬化を示す所見より、突然の塞栓性閉塞が示唆されます。
b.出血性脳梗塞:梗塞内への二次的な出血を伴う病態です。本例では心房細動を背景とした急性の塞栓性梗塞が最も考えられます。提示された拡散強調像とMRAだけで微小な出血まで除外することはできません。
c.心原性脳塞栓症:心房細動を背景に左中大脳動脈領域が急に閉塞した心原性脳塞栓症です。正答。
d.中大脳動脈解離:動脈解離を示す所見はありません。
e.椎骨動脈解離:病変部位と症候に合いません。
f.脳動脈瘤破裂:くも膜下出血を示す所見や雷鳴頭痛はありません。
g.被殻出血:提示像は左中大脳動脈領域の拡散制限と主幹動脈閉塞を示し、被殻血腫を主病変とする所見ではありません。
h.皮質下出血:提示像では主幹動脈閉塞に対応する急性虚血が示唆され、皮質下血腫を主病変とする所見ではありません。
i.もやもや病:典型的な両側性頭蓋内主幹動脈狭窄などを示しません。
覚えるポイント
心房細動を背景とする心原性脳塞栓症
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。