第105回医師国家試験 A57(2011年)
正答:ADE
問題
60歳の女性。右耳の耳鳴と難聴とを主訴に来院した。
最近、電話の受話器を左手に持ち左耳で聞くことが多くなった。頭部MRI(別冊No.21)を別に示す。
この患者にみられるのはどれか。3つ選べ。
a.歩行時によろめく。
b.右側の同名半盲を訴える。
c.右側の嗅覚が低下している。
d.右側の顔面神経麻痺がみられる。
e.右側を注視すると大きな振幅の眼振がみられる。

正答の理由
片側性の耳鳴・難聴とMRIの右小脳橋角部の大きな腫瘤から、右前庭神経鞘腫が考えられます。前庭系や小脳への影響で歩行時によろめき、近接する顔面神経の障害で同側顔面神経麻痺を呈し得ます。大きな小脳橋角部腫瘍では橋・小脳の圧迫により、患側注視時に粗大な眼振を示すBruns眼振がみられます。
画像の見方
右小脳橋角部に大きな腫瘤を認め、橋と小脳を圧排している。
各選択肢の検討
a.歩行時によろめく。:前庭機能障害に伴う平衡障害で歩行時によろめき得ます。正答。
b.右側の同名半盲を訴える。:同名半盲は後頭葉視路病変を示唆し、前庭神経鞘腫では通常起こりません。
c.右側の嗅覚が低下している。:嗅覚低下は嗅神経・前頭蓋底病変などでみられ、本腫瘍の症候ではありません。
d.右側の顔面神経麻痺がみられる。:腫瘍の圧迫で同側顔面神経麻痺が起こり得ます。正答。
e.右側を注視すると大きな振幅の眼振がみられる。:大きな右小脳橋角部腫瘍による橋・小脳の圧迫では、右注視時に粗大な注視眼振を呈し得ます(Bruns眼振)。単純な末梢前庭障害の眼振とは区別します。正答。
覚えるポイント
右前庭神経鞘腫の症候
出典・参考資料
- 厚生労働省:第105回医師国家試験問題および正答
- Vestibular Schwannoma (Acoustic Neuroma) & Neurofibromatosis | NIDCD
- Bruns nystagmus: an important clinical clue for cerebellopontine angle tumours
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。