遠隔転移を伴う進行胃癌への全身抗癌化学療法|第105回医師国家試験A45

第105回医師国家試験 A45(2011年)

正答:d

問題

75歳の女性。体重減少を主訴に来院した。4か月前から時々心窩部痛があり、体重が約10 kg減少した。身長153 cm、体重38 kg。眼瞼結膜に貧血を認める。腹部は平坦、軟で、腫瘤を触知しない。

血液所見:赤血球295万、Hb 6.9 g/dL、Ht 26%。

血液生化学所見:総蛋白6.0 g/dL、アルブミン3.3 g/dL、AST 30 IU/L、ALT 32 IU/L、LD 326 IU/L(基準176~353)。CEA 12 ng/mL(基準5以下)。上部消化管内視鏡検査を施行し、生検で印環細胞癌とHelicobacter pylori陽性と診断された。上部消化管内視鏡写真(別冊No.15A)と腹部造影CTの冠状断像(別冊No.15B、C)とを別に示す。

対応として適切なのはどれか。

a.胃全摘術

b.試験開腹術

c.幽門側胃切除術

d.全身抗癌化学療法

e.Helicobacter pylori除菌治療

胃内視鏡像。胃粘膜に進行癌を疑う不整な病変を認める。
別冊No.15A / 出典:厚生労働省・第105回A別冊(原本の該当ページ)
腹部造影CT冠状断像。胃周囲から遠隔リンパ節領域に腫大リンパ節を認める。
別冊No.15B / 出典:厚生労働省・第105回A別冊(原本の該当ページ)
腹部造影CT冠状断像。大動脈周囲リンパ節転移を疑う病変を認める。
別冊No.15C / 出典:厚生労働省・第105回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

著明な体重減少、貧血、胃内視鏡での進行癌に加え、造影CTでは遠隔リンパ節転移を疑う所見があります。切除による根治が見込めない進行胃癌では、全身状態や腫瘍のバイオマーカーを評価したうえで全身薬物療法を選択します。H. pylori除菌だけでは既存の進行癌を治療できません。

画像の見方

内視鏡で胃癌病変を認め、CT冠状断像では胃周囲・大動脈周囲に転移を疑うリンパ節腫大がある。

各選択肢の検討

a.胃全摘術。遠隔リンパ節転移が疑われ、胃全摘による根治切除は期待しにくいです。

b.試験開腹術。診断は生検で得られており、試験開腹は治療方針決定の第一選択ではありません。

c.幽門側胃切除術。遠隔リンパ節転移が疑われるため幽門側胃切除による根治は困難です。

d.全身抗癌化学療法。切除不能の転移性胃癌では全身状態・腫瘍特性を踏まえ全身薬物療法を行います。

e.Helicobacter pylori除菌治療。H. pylori除菌だけでは既に存在する進行胃癌や転移を治療できません。

覚えるポイント

遠隔転移を伴う切除不能進行胃癌では、根治切除でなく全身薬物療法を基本に検討する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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