1絨毛膜双胎の羊水過多への対応|第104回医師国家試験I76

第104回医師国家試験 I76(2010年)

正答:b

問題

28歳の初産婦。妊娠10週に1絨毛膜2羊膜双胎と診断された。妊娠28週に1児の羊水過多を指摘された。子宮収縮が5分おきにみられる。

対応として適切なのはどれか。

a.羊水造影

b.羊水除去

c.子宮血流計測

d.プロスタグランディンF2α投与

e.75 g経口ブドウ糖負荷試験〈OGTT〉

正答の理由

1絨毛膜2羊膜双胎の一児に羊水過多があり、双胎間輸血症候群(TTTS)を疑う状況です。ただし、試験翌年の産科ガイドライン2011(CQ703)は羊水過多児(最大羊水深度>8 cm)と羊水過少児(<2 cm)が同時に認められることを診断の条件としており、本文には他児の羊水量の記載がないので、TTTSとは確定できません。子宮収縮が5分おきにある状況で、選択肢の中で羊水量を減らす処置である羊水除去が公式正答です。同ガイドラインのCQ307は、羊水除去を母体症状軽減や妊娠期間延長を目的に考慮するとしつつ、対症療法であり対象は単胎の重症例が一般的としています。本文には羊水量や母体症状の記載もなく、実際の適応はこれらを評価して決めます。現在はレーザー凝固術が妊娠16〜26週のTTTSの最適な治療とされ、26週以降でも選択肢になるとする総説があるので、方針は専門施設で判断します。

各選択肢の検討

a.羊水造影。誤り。羊水量を減らす処置ではなく、子宮収縮にも対処できません。上記ガイドラインの羊水過多の原因検索と対応(CQ307)にも挙がっていません。

b.羊水除去。正しい(公式正答)。上記ガイドラインは羊水過多症に母体症状軽減や妊娠期間延長を目的とした羊水除去を考慮するとしています(推奨レベルC)。TTTSでもレーザー凝固術と比較されてきた治療法で、26週未満ではレーザー凝固術が児の予後で勝るとされています。

c.子宮血流計測。誤り。子宮への血流を評価する検査で、羊水量を減らす処置でも子宮収縮への対処でもありません。TTTSを疑うときにまず確かめるのは、両児の羊水量や膀胱の大きさ、胎児の血流です。

d.プロスタグランディンF2α投与。誤り。子宮収縮薬で、分娩誘発・促進に用いる薬です。妊娠28週で早産が切迫している本例では、収縮を強めて不利益となります。

e.75 g経口ブドウ糖負荷試験〈OGTT〉。誤り。母体糖尿病は羊水過多の原因の一つで、原因検索として行われる検査です。しかし1絨毛膜双胎の一児のみの羊水過多ではTTTSをまず考えます。また、この検査は子宮収縮が5分おきにある状況への対応にはなりません。

覚えるポイント

1絨毛膜双胎で一児の羊水過多はTTTSを疑い、両児の羊水量を確認する。羊水除去は羊水過多の対症療法で、26週未満のTTTSはレーザー治療が羊水除去に勝る。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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