第104回医師国家試験 I68(2010年)
正答:a
問題
25歳の男性。職場の健康診断で胸部エックス線写真の異常を指摘され来院した。最近、目のかすみを自覚している。喫煙歴はない。胸部エックス線写真(別冊No. 20)を別に示す。
この疾患の診断に有用な検査項目はどれか。
a.ACE〈angiotensin-converting enzyme〉
b.NSE〈neuron-specific enolase〉
c.ANCA
d.リンパ球刺激試験
e.インターフェロンγ試験

正答の理由
若年男性の無症状の検診異常で、胸部写真は両側肺門の腫大です。目のかすみはぶどう膜炎を疑わせ、サルコイドーシスを考えます。選択肢の中では血清ACEが診断の補助となります。ACE上昇は他の病態でもみられ非特異的なので、確定には組織で非乾酪性肉芽腫を確認します。
画像の見方
両側肺門部に腫瘤状・分葉状の陰影があり、両側肺門リンパ節腫脹に合致する。肺野に広範な浸潤影はない。
各選択肢の検討
a.ACE〈angiotensin-converting enzyme〉。正しい。サルコイドーシスで上昇しやすく、示唆する検査です。甲状腺機能亢進症、糖尿病、抗酸菌症、過敏性肺炎などでも上がるため単独では確定できません。
b.NSE〈neuron-specific enolase〉。誤り。NSEは神経内分泌腫瘍などで産生されるマーカーです。本例の肺門腫大に眼症状を伴う像とは結びつきません。
c.ANCA。誤り。ANCAは多発血管炎性肉芽腫症などの血管炎で陽性となります。無症状の両側肺門腫大とは異なり、血管炎なら上下気道や腎の症状を伴うのが普通です。
d.リンパ球刺激試験。誤り。薬剤に反応するT細胞を試験管内で検出する検査で、遅発型の薬剤過敏症の評価に用いられます。本例に疑う薬剤の情報はなく、確認した資料のサルコイドーシスの検査項目にも挙がっていません。
e.インターフェロンγ試験。誤り。インターフェロンγ遊離試験は結核感染の検査です。確認した資料では、結核との鑑別のためサルコイドーシスの評価の早い段階で行うとされますが、サルコイドーシスを積極的に示す検査ではありません。
覚えるポイント
両側肺門リンパ節腫脹+ぶどう膜炎はサルコイドーシスを考え、ACEは補助(非特異的)で確定は組織診断。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Sarcoidosis (MSD Manual Professional Edition)
- Pancreatic Neuroendocrine Tumors (Islet Cell Tumors) Treatment (PDQ) (NCI)
- Granulomatosis with Polyangiitis (GPA) (MSD Manual Professional Edition)
- Pathogenesis and diagnosis of delayed-type drug hypersensitivity reactions, from bedside to bench and back
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。