第104回医師国家試験 I57(2010年)
正答:d・e
問題
7歳の男児。2週前から歩行時に転倒することを主訴に来院した。頭部造影MRIのT1強調矢状断像(別冊No. 14A)と横断像(別冊No. 14B)とを別に示す。
神経学的診察でみられるのはどれか。2つ選べ。
a.失行
b.視野障害
c.感覚性失語
d.眼球運動障害
e.顔面神経麻痺


正答の理由
小児の短期の歩行障害で、画像では橋の内部にリング状に造影される腫瘤があり、第四脳室は圧排されて同定しにくくなっています。橋には外転神経核と顔面神経核があり、小脳との連絡路もあります。NCIのPDQでも、脳幹の腫瘍の症状は脳神経障害(特に外転神経麻痺)、長索路徴候、運動失調とされています。組織型はこの2枚の画像だけでは断定できません。
画像の見方
矢状断像で橋の内部に、横断像で橋の中央に、リング状に造影される円形の腫瘤を認める。第四脳室は圧排されて同定しにくい。
各選択肢の検討
a.失行。誤り。MSDでは頭頂葉の障害で学習された動作ができなくなる症状として説明されます。病変は脳幹にあり、大脳皮質の症状ではありません。
b.視野障害。誤り。視路や後頭葉の障害で生じます。腫瘤はテント下にあり、視路から離れています。
c.感覚性失語。誤り。優位半球の側頭葉の障害で、言語の理解が損なわれます。橋の病変の症状ではありません。
d.眼球運動障害。正しい。橋の外転神経核や内側縦束が障害されると、外転麻痺や複視が出ます。
e.顔面神経麻痺。正しい。顔面神経核と神経線維は橋の被蓋を通るため、同じ病変で障害されます。
覚えるポイント
橋の腫瘍は脳神経障害(外転・顔面)と運動失調、長索路徴候。大脳皮質症状は出ない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Childhood Astrocytomas and Other Gliomas Treatment (PDQ®)
- Overview of Cerebral Function
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。