第104回医師国家試験 I41(2010年)
正答:b
問題
57歳の女性。意識障害のため搬入された。3日前に37℃台の発熱があり、頭重感を自覚していた。昨日、左片麻痺が出現し、本日意識障害が出現した。体温39.4℃。頭部MRIの造影拡散強調像(別冊No. 3A)とT1強調像(別冊No. 3B)とを別に示す。
診断はどれか。
a.髄膜炎
b.脳膿瘍
c.日本脳炎
d.単純ヘルペス脳炎
e.Creutzfeldt-Jakob 病


正答の理由
発熱に続く局所神経症状と意識障害があり、画像では右大脳半球の占拠性病変が周囲の浮腫と正中偏位を伴っています。No. 3Bでリング状の造影(内側に一部厚い部分があります)、No. 3Aで内部の著明な高信号があり、膿瘍に合致します。問題文の「造影拡散強調像」は原本の表記のままです。MSDでも、完成した膿瘍は「リング状造影を示す浮腫を伴う腫瘤」と説明され、造影MRIと拡散強調像の組み合わせが推奨されています。腫瘍や梗塞と紛らわしいことがあるため、実地では穿刺や培養で確かめます。
画像の見方
拡散強調像で右大脳半球の病変内部に著明な高信号、T1強調像でリング状の造影(内側に一部厚い部分がある)と内部の低信号を認める。周囲に浮腫があり、側脳室の圧排と正中偏位を伴う。
各選択肢の検討
a.髄膜炎。誤り。主座は髄膜と髄液腔で、髄膜刺激症状が前面に出ます。本例のような脳実質内のリング状造影腫瘤は別の病態です。
b.脳膿瘍。正しい。発熱、片麻痺、意識障害と、浮腫を伴うリング状造影腫瘤、内部の拡散強調像高信号がそろいます。
c.日本脳炎。誤り。ウイルスによる脳実質の炎症で、MSDの表ではアジアに分布し、主に小児に起こるとされます。被膜を持つリング状造影腫瘤を作る疾患としては説明できません。
d.単純ヘルペス脳炎。誤り。側頭葉病変を示唆する所見が手がかりで、診断はMRIと髄液PCRで行います。本例は側頭葉ではなく、被膜状に造影される占拠性病変です。
e.Creutzfeldt-Jakob 病。誤り。急速進行性認知症とミオクローヌスが特徴で、拡散強調像の高信号は大脳皮質や基底核に沿います。発熱と急性経過、リング状造影は合いません。
覚えるポイント
発熱+局所症状+リング状造影+内部の拡散強調像高信号は脳膿瘍。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。