急性心筋梗塞の予後指標|第104回医師国家試験I2

第104回医師国家試験 I2(2010年)

正答:a

問題

急性心筋梗塞患者の予後の指標とならないのはどれか。

a.胸痛の強さ

b.左室駆出率

c.CK の最大値

d.広範な ST 上昇

e.Forrester 分類

正答の理由

日本循環器学会のSTEMIガイドライン(2006-2007年度合同研究班報告)は、予後が主に左室機能、梗塞サイズ、リスク心筋の大きさで決まるとしています。b〜eはいずれも梗塞の大きさかポンプ機能を反映します。一方、胸痛は軽いこともあり、無症候の梗塞が約20%あるとされます。出題後のSTEMI患者の研究でも、胸痛の強さと心筋傷害マーカーの相関は弱いものでした。正解はaです。

各選択肢の検討

a.胸痛の強さ。指標とならない(正解)。胸部不快感は軽いこともあり、一般人口で急性心筋梗塞の約20%は無症候とされます。STEMI 414例の事後解析(2021年、出題後の研究)では、病院前の胸痛の強さとCK・トロポニンIのピーク値の相関は弱く(r=0.16、0.14)、交絡因子の調整後は有意でなくなり、6か月の主要心血管イベントとの関連も認めませんでした。TIMIリスクスコアの項目にも胸痛の強さは含まれません。

b.左室駆出率。指標となる。左室機能はSTEMIの予後を決める主要因子で、駆出率はその代表的な測定値です。

c.CK の最大値。指標となる。CK最高値は心筋壊死量を反映し、梗塞サイズの推定に用いられてきました。ただし早期再灌流例ではピークが早く高くなる点に注意が必要です。

d.広範な ST 上昇。指標となる。GUSTO-I試験の解析(34,166例)では、初回心電図のST偏位の総和(ST上昇とST低下の絶対値の合計)が30日死亡の独立した予測因子でした。前壁梗塞は大きく予後不良になりやすく、STEMIのTIMIリスクスコアにも前壁ST上昇または左脚ブロックが含まれます。

e.Forrester 分類。指標となる。肺動脈楔入圧と心係数からポンプ失調の重症度を4群に分ける血行動態分類で、予後を左右する左室のポンプ機能を反映します。身体所見で分けるKillip分類では、高いクラスほど死亡率が高いと報告されています。

覚えるポイント

心筋梗塞の予後は左室機能・梗塞サイズ・リスク心筋の大きさで決まり、胸痛の強さでは測れない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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