第104回医師国家試験 H23(2010年)
正答:e
問題
60歳の男性。大腸がん検診で便潜血陽性を指摘されたため来院した。検診結果は2回の検査のうち1回は陽性で、1回は陰性であった。自覚症状はない。10年前の胃がん検診で胃潰瘍瘢痕の疑いを指摘されている。
対応として適切なのはどれか。
a.経過観察
b.便潜血の再検査
c.腹部造影CT
d.上部消化管内視鏡検査
e.下部消化管内視鏡検査
正答の理由
出題当時の厚生労働省の報告書(2008年)は、便潜血陽性で要精密検査となった人に「原則として内視鏡検査により必ず精検を受ける」必要があると知らせることを求め、精検として不適切な検査に便潜血検査の再検を挙げています。当時の大腸がん検診ガイドライン(2005年)でも、陽性者には原則として全大腸内視鏡検査で精密検査を行うとされ、現行のチェックリストでも全大腸内視鏡検査が第一選択です。本例は検診で便潜血陽性を指摘されており、無症状であることや、もう1回が陰性だったことを精密検査を省く理由にはしません。
各選択肢の検討
a.誤り。自覚症状がなくても検診で陽性となった以上、精密検査が必要です。早期大腸癌や腺腫は無症状のことが多く、受診の機会を逃します。
b.誤り。便潜血検査の再検は精検として不適切と位置づけられています。再検で陰性になっても、先の陽性を打ち消せません。
c.誤り。当時の報告書が挙げる精検法は大腸内視鏡検査または注腸エックス線検査で、造影CTは含まれません。粘膜の小病変を直接観察して生検することもできません。
d.誤り。10年前の胃潰瘍瘢痕の疑いは今回の陽性とは別の話です。大腸の観察を行わないと、検診で拾うべき大腸病変の評価になりません。
e.正しい。下部消化管内視鏡検査、特に全大腸内視鏡検査で直腸から盲腸まで観察し、必要に応じて生検や切除も行えます。
覚えるポイント
便潜血陽性は要精検。再検ではなく全大腸内視鏡検査へ進む。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- 今後の我が国におけるがん検診事業評価の在り方について(報告書)(厚生労働省 がん検診事業の評価に関する委員会、2008年)
- 有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン(平成16年度 厚生労働省がん研究助成金研究班)
- 令和6(2024)年度 検診機関チェックリスト実績 大腸がん検診(栃木県)
- 大腸がん | 国立がん研究センターがん対策研究所(有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。