慢性経過の上肺野空洞影と結核|第104回医師国家試験H21

第104回医師国家試験 H21(2010年)

正答:b

問題

62歳の男性。3か月前からの体重減少、夜間の発汗および咳嗽を主訴に来院した。喫煙は50本/日を40年間。飲酒は日本酒5合/日を40年間。路上生活の経験がある。意識は清明。身長175cm、体重40kg。体温37.8℃。呼吸数24/分。脈拍104/分、整。血圧140/86mmHg。聴診で胸部全体にrhonchi〈いびき様音〉を聴取する。胸部エックス線写真で両上肺野に浸潤影と空洞を伴う辺縁不整な結節影とを認める。喀痰のGram染色で多数の白血球を認めるが、細菌は認めない。

考えられる起炎菌はどれか。

a.緑膿菌

b.結核菌

c.肺炎球菌

d.肺炎桿菌

e.レジオネラ菌

正答の理由

3か月に及ぶ体重減少、夜間の発汗、咳嗽に微熱が加わり、路上生活歴があります。両上肺野の空洞を伴う病変は肺尖部に好発する結核の再燃に合致します。抗酸菌は細胞壁の脂質のためGram染色で染まりにくく、白血球が多いのに菌が見えないことも説明できます。次は抗酸菌染色、核酸増幅検査、培養に進み、空気感染対策をとります。

各選択肢の検討

a.誤り。緑膿菌はGram陰性桿菌で、Gram染色で観察できます。肺炎では既知の定着や入院歴、抗菌薬使用歴、重症COPDなどが手がかりになります。

b.正しい。抗酸菌はGram染色に抵抗性で、再燃は肺尖部に多く、慢性の全身症状と路上生活歴も合致します。

c.誤り。肺炎球菌は市中肺炎の代表的な起炎菌ですが、Gram陽性双球菌として染色で確認でき、3か月に及ぶ消耗性の経過には合いません。

d.誤り。大酒家では肺炎桿菌も鑑別に上がりますが、Gram陰性桿菌なので本例の染色所見と合わず、3か月に及ぶ消耗性の経過も合いません。

e.誤り。レジオネラ肺炎は潜伏期2〜10日で急性の発熱と全身症状で発症し、診断には尿中抗原や専用培地を用います。3か月の経過とは異なります。

覚えるポイント

慢性の消耗症状+上肺野の空洞+Gram染色で菌が見えない膿性痰は肺結核を考え、抗酸菌検査と空気感染対策へ進む。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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