第104回医師国家試験 H16(2010年)
正答:a
問題
うつ状態に特徴的な訴えはどれか。
a.「考えが浮かびません」
b.「考えが頭から離れません」
c.「考えが声となって聞こえます」
d.「考えが誰かに抜き取られます」
e.「考えが他人に伝わってしまいます」
正答の理由
うつ状態では精神運動の制止とともに思考がしにくくなり、集中力の低下も伴います。「考えが浮かびません」は、この思考制止の訴えなのでaです。c、d、eはSchneiderの一級症状にあたる体験です。cは自分の考えが声で語られ、dとeは自分の考えが外部に奪われたり漏れたりすると感じます。bは強迫観念の訴えです。
各選択肢の検討
a.「考えが浮かびません」。正しい。思考の速さや量が落ちる思考制止の表現で、うつ状態の思考障害にあたります。
b.「考えが頭から離れません」。誤り。望まない考えが反復して侵入する強迫観念の訴えで、強迫症の中核症状です。
c.「考えが声となって聞こえます」。誤り。考想化声(audible thoughts)で、自分の考えが声で語られる体験です。
d.「考えが誰かに抜き取られます」。誤り。考想奪取(thought withdrawal)で、外部の力で考えが取り去られると感じます。
e.「考えが他人に伝わってしまいます」。誤り。考想伝播(thought broadcasting)で、考えが外部に漏れて他者に知られると体験します。
覚えるポイント
「考えが浮かばない」は思考制止でうつ状態。考想化声・奪取・伝播はSchneider一級症状。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Depressive Disorders – MSD Manual Professional Edition
- Schneider's first-rank symptoms as predictors of remission in antipsychotic-naive first-episode psychosis
- Obsessive-Compulsive Disorder (OCD) – Merck Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。