第104回医師国家試験 H4(2010年)
正答:e
問題
患者への病状の説明で適切なのはどれか。
a.看護師は同席させない。
b.診療録には説明内容を記載しない。
c.説明時の同席は家族に限定する。
d.話しことばを避けて正確な医学用語を用いる。
e.患者が詳しい病状説明を希望しなければその意向に沿う。
正答の理由
厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」(2003年)は、診療中の患者へ症状・診断・予後・治療方針などを丁寧に説明することを原則としつつ、患者が「知らないでいたい希望」を表明した場合はこれを尊重しなければならないと定めています。したがってeが適切です。ただし希望の確認は説明の省略を意味せず、判断能力がない患者では親権者等に情報を提供します。
各選択肢の検討
a.看護師は同席させない。誤り。術前の説明を検討した国内の看護報告は、看護師の同席に、説明に対する患者の理解・納得の過程を共有する意味があるとしています。2007年の終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインも、治療方針を多専門職種の医療・ケアチームとして決めることを基本としています。
b.診療録には説明内容を記載しない。誤り。医師法第24条は診療に関する事項の遅滞ない診療録記載を義務づけています。2007年のガイドラインも、治療方針の合意内容を文書にまとめておくことを求めています。
c.説明時の同席は家族に限定する。誤り。看護師の同席には上記の意味があり、チームでの対応を基本とする考え方にも、医療者を除いて同席者を家族に限る形は合いません。
d.話しことばを避けて正確な医学用語を用いる。誤り。指針は、患者等にとって理解を得やすいように懇切丁寧に情報を提供するよう求めています。必要な専門用語は日常のことばに言い換えて伝えます。
e.患者が詳しい病状説明を希望しなければその意向に沿う。正しい。指針が定める「知らないでいたい希望」の尊重にあたります。
覚えるポイント
病状説明は分かりやすく丁寧に行い記録する。患者の「知らないでいたい希望」は尊重する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- 診療情報の提供等に関する指針(厚生労働省)
- 終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省、2007年)
- 医師法(法令データ提供システム、2010年6月の写し、Internet Archive)
- 術前のインフォームドコンセントにおける看護師の役割(柏村由紀子ほか)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。