第104回医師国家試験 G63(2010年)
正答:a
問題
43歳の男性。嗄声と息苦しさとを主訴に搬入された。
現病歴:庭で草花の手入れをしていて指を蜂に刺された。数分後口渇感に続いて嗄声を生じ、息苦しさを感じた。一緒にいた家族が救急車を要請した。
既往歴:以前、蜂に刺されたことがあったが、治療を要するほどではなかった。アレルギー歴に特記すべきことはない。
家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長172cm、体重60kg。呼吸数24/分。脈拍112/分、整。血圧90/58mmHg。顔面は浮腫状である。心音に異常を認めない。呼気時に喘鳴を聴取する。四肢は温かい。
検査所見:動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.50、PaO2 78 Torr、PaCO2 30 Torr、HCO3- 20 mEq/l。
処置として適切でないのはどれか。
a.胃管挿入
b.血管確保
c.酸素投与
d.心電図モニター装着
e.連続測定血圧計装着
正答の理由
呼吸循環の悪化が迫るアナフィラキシーでは、アドレナリン筋注に加え、高流量酸素、太い静脈路の確保と輸液、血圧・脈拍・呼吸・意識の頻回の評価を行います。確認した資料の初期対応に胃管挿入は挙がっておらず、蜂刺傷の治療に役立つ目的もないので、ここでは適切でありません。
各選択肢の検討
a.胃管挿入。適切でない(正答)。抗原は経口で入ったものではなく、胃の減圧や洗浄の目的がありません。確認した資料の管理手順にも挙がりません。上気道浮腫のある患者では挿入の刺激が負担になり、気道と循環の治療を遅らせるおそれがあると考えます。
b.血管確保。適切。低血圧に対する急速輸液と薬剤投与の経路として、太い留置針で静脈路を確保します。
c.酸素投与。適切。呼吸困難があり、PaO2 78 Torrと低めなので、高流量酸素を投与します。
d.心電図モニター装着。適切。頻脈や不整脈の監視、アドレナリン投与時の監視に必要です。
e.連続測定血圧計装着。適切。血圧90/58 mmHgで変動しやすく、治療への反応を短い間隔で評価します。
覚えるポイント
アナフィラキシーの処置はアドレナリン筋注と気道・酸素・静脈路・モニター。胃管は優先しない。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- World allergy organization anaphylaxis guidance 2020
- Anaphylaxis – Allergy and Immunology – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。