第104回医師国家試験 G51(2010年)
正答:c・e
問題
56歳の男性。就労して社会復帰したいと希望して相談に来た。22歳から統合失調症で治療中である。これまでに被害妄想と幻聴を主症状として3回の入院治療歴がある。最近、欠勤が多く作業能率も低下していることから10年間勤めた工場を解雇された。それ以来、自宅で何もしないで過ごすようになった。
適切なのはどれか。2つ選べ。
a.任意入院
b.介護保険の利用
c.精神障害者授産施設の利用
d.精神医療審査会への申し立て
e.精神障害者社会適応訓練事業の利用
正答の理由
本人の希望は就労による社会復帰で、入院を要する病状の悪化は示されていません。出題当時の制度では、訓練と仕事の場を提供する授産施設と、協力事業所で訓練する社会適応訓練事業がこの目的に合います。公式正答はc、eです。制度名は2010年当時のものです。
各選択肢の検討
a.任意入院。誤り。任意入院は本人の同意に基づく入院形態で、入院治療を要する状況で検討するものです。問題文の相談は就労であり、まず入院を考える根拠がありません。
b.介護保険の利用。誤り。56歳は第2号被保険者で、要介護状態の原因が特定疾病の場合に限り利用できます。特定疾病に統合失調症は挙げられておらず、目的も介護ではありません。
c.精神障害者授産施設の利用。正しい。雇用が困難な精神障害者に低額で訓練と職業を提供し、社会復帰を図る施設です。2010年当時は障害者自立支援法の新体系へ平成24年3月までに移行する経過期間でした。
d.精神医療審査会への申し立て。誤り。精神医療審査会は入院の必要性の審査や、入院中の者の退院・処遇改善の請求を扱います。入院していない本例の就労相談は対象ではありません。
e.精神障害者社会適応訓練事業の利用。正しい。当時の精神保健福祉法第50条に定められた事業で、通常の事業所での雇用が困難な人に職業と訓練を提供します。制度名は出題当時のものです。
覚えるポイント
就労希望には入院や審査会でなく就労訓練の場を。当時の制度名と現在の就労移行支援などを区別する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(2010年2月時点のe-Gov掲載版、Internet Archive)
- 精神障害者社会復帰施設の概要(厚生労働省 審議会資料)
- 平成22年版 厚生労働白書 資料編(障害福祉サービスに係る自立支援給付)
- 特定疾病の選定基準の考え方(厚生労働省)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。