社会的支援の効果とICFの枠組み|第104回医師国家試験G5

第104回医師国家試験 G5(2010年)

正答:d

問題

社会的支援(social support)の効果で誤っているのはどれか。

a.ADLの向上

b.QOLの向上

c.死亡率の低下

d.機能障害の軽減

e.参加制約の軽減

正答の理由

社会的支援は、ICF(国際生活機能分類)で環境因子の「支援と関係」に当たり、活動や参加に働きかけます。一方、機能障害は心身機能・身体構造そのものの問題で、支援によって直接軽くなるとはいえません。公式正答はdです。ただし抑うつの軽減や受療継続などを介した間接効果まで否定するものではなく、本解説では「支援の直接の効果」を整理する問題と読みます。

各選択肢の検討

a.ADLの向上。正しい効果(誤りの選択肢ではない)。ICFでは、課題の実行状況は現在の環境での遂行とされ、環境因子が促進にも阻害にも働きます。介助や環境調整は日常の活動を支えます。中等度以上の障害をもつ高齢者の横断研究でも機能的自立・社会的支援・生活の質の関連が報告されていますが、観察研究なので因果は断定できません。

b.QOLの向上。正しい効果(誤りの選択肢ではない)。同じ研究で、機能的自立と健康関連QOLの関係に社会的支援を介する間接的な関連が示唆されました。観察研究なので因果の断定はできません。

c.死亡率の低下。正しい効果(誤りの選択肢ではない)。148研究のメタ解析で、社会的関係が強い人の生存の可能性は約50%高い(OR 1.50)と報告されました。観察研究の結果なので因果の断定には注意します。

d.機能障害の軽減。誤り(これを選ぶ)。ICFで機能障害は心身機能・身体構造の次元の問題です。社会的支援は環境因子として活動・参加を支えますが、麻痺などの機能障害そのものを直接軽くするものとはいえません。

e.参加制約の軽減。正しい効果(誤りの選択肢ではない)。ICFは環境因子の第3章に「支援と関係」を置き、環境因子が促進因子として働くと整理しています。周囲の支援は社会参加の制約を減らす方向に働きます。

覚えるポイント

社会的支援はICFの環境因子。ADL・QOL・参加・生存に働くが、機能障害そのものを直接は治さない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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