産科手術と合併症|第104回医師国家試験G4

第104回医師国家試験 G4(2010年)

正答:a

問題

産科手術と合併症の組合せで正しいのはどれか。

a.帝王切開術 ― 膀胱損傷

b.吸引分娩術 ― Erb麻痺

c.頸管縫縮術 ― 子宮穿孔

d.鉗子分娩術 ― 臍帯脱出

e.骨盤位牽出術 ― 帽状腱膜下血腫

正答の理由

膀胱は子宮下節の前面にあり、帝王切開で剝離する部位に接するため、膀胱損傷は帝王切開の代表的な術中合併症です(報告で帝王切開の0.22〜0.44%)。公式正答はaです。緊急手術や反復帝王切開で頻度が上がる報告もあります。他の肢は、手術と合併症の組み合わせをずらした形になっています。

各選択肢の検討

a.帝王切開術 ― 膀胱損傷。正しい。帝王切開の術中合併症として報告され、緊急や反復の帝王切開で増えるとする報告があります。

b.吸引分娩術 ― Erb麻痺。公式正答では選ばれない。Erb麻痺を含む腕神経叢損傷は頸部の側方伸展で生じ、肩甲難産や骨盤位牽出が代表的な要因です。吸引分娩で起こらないわけではなく、スウェーデンの吸引分娩13,716例では腕神経叢麻痺が1.1%あり、最大の危険因子は肩甲難産でした(OR 16.0)。吸引そのものより肩甲難産を介する合併症と理解し、吸引分娩に対応する合併症としては帽状腱膜下血腫や頭血腫を押さえます。

c.頸管縫縮術 ― 子宮穿孔。誤り。頸管縫縮術は非吸収糸で頸管を補強する手術で、系統的レビューで報告された長期合併症は瘻孔、糸の迷入、膀胱結石、膿瘍などです。子宮穿孔は人工妊娠中絶のように子宮内へ器具を入れる処置で挙げられる合併症で、組合せが合いません。

d.鉗子分娩術 ― 臍帯脱出。誤り。鉗子分娩は児頭が嵌入していることが前提で、未嵌入は禁忌です。臍帯脱出は児頭未嵌入などで破水した際に起こるため、組合せが合いません。鉗子分娩では顔面神経麻痺や会陰裂傷が問題になります。

e.骨盤位牽出術 ― 帽状腱膜下血腫。誤り。帽状腱膜下血腫は鉗子や吸引カップで頭皮に力が加わって生じます。骨盤位牽出で問題となるのは腕神経叢損傷です。

覚えるポイント

帝王切開は膀胱損傷、吸引は帽状腱膜下血腫・頭血腫、鉗子は顔面神経麻痺、骨盤位牽出は腕神経叢損傷。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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