第104回医師国家試験 E58(2010年)
正答:c
問題
55歳の男性。2か月前からの全身疲労感、湿性咳嗽、息切れ及び顔面のむくみを主訴に来院した。既往歴に特記すべきことはない。身長158cm、体重46kg。呼吸数18/分。脈拍72/分、整。血圧144/88mmHg。心音に異常を認めない。両側背部にfine cracklesを聴取する。腹部に異常を認めない。入院時の胸部エックス線写真(別冊No. 14A)と経気管支肺生検組織のH-E染色標本(別冊No. 14B)とを別に示す。
この患者で異常が予測される腫瘍マーカーはどれか。
a.AFP
b.CA19-9
c.NSE
d.PIVKA-II
e.SCC


正答の理由
生検で細胞質に乏しく核の濃い腫瘍細胞が密に増殖し、核が押し合う像から小細胞肺癌を考えます。胸部写真の上縦隔から肺門の陰影も矛盾せず、顔面のむくみは上大静脈症候群の可能性があります。小細胞癌で陽性率が高いマーカーはNSEとProGRPなので、公式正答はcです。マーカーは早期診断には向かず、確定は組織で行います。
画像の見方
No.14Aで上縦隔の幅が広く、左肺門部の濃度が上昇(図に矢印はなく本解説の読影で、CTがないため確定所見ではない)。No.14Bで細胞質に乏しい濃染核の腫瘍細胞が密に増殖し、核の圧排様配列と濃縮した核がある。
各選択肢の検討
a.AFP。誤り。AFPは肝細胞癌のマーカーで、組織像が異なります。
b.CA19-9。誤り。CA19-9は胆道癌・膵癌でとくに陽性率が高い糖鎖抗原で、小細胞癌の指標ではありません。
c.NSE。正しい。NSEは肺癌の組織型別で小細胞癌に対応し、進行期で陽性率が高くなります。
d.PIVKA-II。誤り。PIVKA-IIはAFPと並ぶ肝細胞癌のマーカーで、この肺生検像とは関係しません。
e.SCC。誤り。SCC抗原は肺でも上がりますが扁平上皮癌のマーカーで、本例の組織像に対応しません。
覚えるポイント
小細胞肺癌のマーカーはNSEとProGRP。扁平上皮癌のSCC、腺癌のSLXと組織型で対応させる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- 腫瘍マーカーの見方(日本臨床検査医学会 ガイドライン2005/2006)
- Lung Carcinoma (MSD Manual Professional Edition)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。