僧帽弁狭窄症の聴診所見|第104回医師国家試験E56

第104回医師国家試験 E56(2010年)

正答:a・e

問題

62歳の女性。労作時の息切れを主訴に来院した。20歳ころに微熱が続き、抗菌薬治療を受けたことがある。心尖部領域に雑音を聴取する。心エコー図(別冊No. 12A、B)を別に示す。

心音聴診で聴取されるのはどれか。2つ選べ。

a.opening snap

b.収縮中期クリック

c.収縮期駆出性雑音

d.拡張早期高調性雑音

e.拡張中期低調性雑音

拡張期の心尖部四腔像カラードプラ(図中に右室・左室・右房・左房の表示あり)。左房から左室へ向かうモザイク状の血流がある。
別冊No. 12A / 出典:厚生労働省・第104回E別冊(原本の該当ページ)
収縮期の心尖部四腔像カラードプラ。左室内に青色の血流があり、左房内に明らかなモザイク血流はない。
別冊No. 12B / 出典:厚生労働省・第104回E別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

拡張期のカラードプラで左房から左室へ向かうモザイク状の血流があり、労作時の息切れとあわせて僧帽弁狭窄症を考えます。硬くなった弁が開く音がopening snapで、続いて狭い弁口を通る低調な拡張期ランブルが聞こえるため、公式正答はa・eです。僧帽弁狭窄症の原因の多くはリウマチ熱で、20歳ころの微熱と抗菌薬治療がそれに当たる可能性はありますが、問題文に「リウマチ熱」の記載はなく、これは推定です。弁の形態や重症度も静止画1コマからは断定できません。

画像の見方

No.12A(拡張期)で僧帽弁口から左室へモザイク血流。No.12B(収縮期)で左房内に目立つ逆流ジェットは見えない(静止画1コマでの本解説の読影)。

各選択肢の検討

a.opening snap。正しい。狭窄した僧帽弁が拡張早期に開くときの音で、僧帽弁狭窄症の代表的な所見です。

b.収縮中期クリック。誤り。収縮中期クリックは僧帽弁逸脱症の所見で、図の拡張期の狭窄血流には合いません。

c.収縮期駆出性雑音。誤り。大動脈弁狭窄症などで聴取する漸増漸減性の雑音で、図で示されているのは拡張期に左房から左室へ向かう異常血流です。

d.拡張早期高調性雑音。誤り。高調な拡張期漸減性雑音は大動脈弁閉鎖不全症の所見で、図の血流は左房から左室へ向かっています。

e.拡張中期低調性雑音。正しい。低調で漸減漸増するランブル様の拡張期雑音で、心尖部で聴取します。

覚えるポイント

左房から左室へのモザイク血流=僧帽弁狭窄症。opening snapと拡張期ランブル。若いころの発熱歴からリウマチ熱を疑うのは推定として扱う。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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