第104回医師国家試験 E21(2010年)
正答:d
問題
造血幹細胞移植における全身放射線照射で正しいのはどれか。
a.単回照射する。
b.白血球数は保たれる。
c.生殖機能は保たれる。
d.二次がんの発生率が高い。
e.総線量は2 Gy程度である。
正答の理由
全身放射線照射(TBI)は移植前処置として行い、骨髄破壊的な標準は分割で総線量12 Gy前後です。晩期合併症に不妊や二次がんがあり、公式正答はdです。ただし高齢者や併存疾患のある患者向けの低強度処置には単回2 Gyのレジメンがあるため、a・eは「標準的な骨髄破壊的TBIについて誤り」と理解します。
各選択肢の検討
a.単回照射する。誤り。初期には10 Gyの単回照射が用いられましたが、1980年代以降は分割照射の成績が優れることが示され、2 Gyを1日2回で3日間などの分割が標準です。
b.白血球数は保たれる。誤り。TBIは骨髄を破壊して腫瘍細胞を除く前処置で、移植片が生着するまで白血球を含む血球は著しく減少します。
c.生殖機能は保たれる。誤り。精細管と卵巣は放射線に高感受性で、不妊はよく知られた合併症です。精巣へのブーストを加える場合はさらに影響します。
d.二次がんの発生率が高い。正しい。移植後の生存者は一般集団より悪性腫瘍のリスクが高く、TBIは二次腫瘍の懸念がある晩期毒性として挙げられます。
e.総線量は2 Gy程度である。誤り。骨髄破壊的な線量は12 Gy以上です。2 Gyは高齢者などに用いる最小強度の前処置の線量で、標準的な線量ではありません。
覚えるポイント
骨髄破壊的TBIは分割で約12 Gy。不妊・二次がんが晩期合併症、2 Gyは低強度処置の例外。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Total Body Irradiation in Haematopoietic Stem Cell Transplantation: A Comprehensive Literature Review
- Maintain Efficacy and Spare Toxicity: Traditional and New Radiation-Based Conditioning Regimens in Hematopoietic Stem Cell Transplantation
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。