第104回医師国家試験 E11(2010年)
正答:d
問題
正常組織で放射線感受性が最も高いのはどれか。
a.下咽頭
b.食道
c.胃
d.小腸
e.直腸
正答の理由
公式正答はdです。放射線感受性は未分化で分裂の盛んな細胞ほど高く、腸管上皮はリンパ球、生殖細胞、増殖中の骨髄細胞に次いで感受性が高い細胞に位置づけられます。日本放射線腫瘍学会のガイドライン付表(Emamiらの耐容線量)でも、全体積照射のTD5/5は小腸40 Gyで、胃50 Gy、食道55 Gy、直腸60 Gyより低くなっています。耐容線量は主に有害事象の線量の指標で感受性そのものではなく、同表に下咽頭の項目はありません。
各選択肢の検討
a.下咽頭。誤り(公式キー)。粘膜炎は起こりますが、参照した耐容線量表に項目がなく、小腸との直接の数値比較はできません。陰窩の幹細胞が盛んに分裂する小腸を上回るとする根拠は参照資料にありません。
b.食道。誤り。全体積照射のTD5/5は55 Gyで、小腸の40 Gyより高い値です。
c.胃。誤り。全体積照射のTD5/5は50 Gyで、小腸の40 Gyより高い値です。
d.小腸。正しい。陰窩の幹細胞の分裂が盛んで、腹部照射の消化管症候群はこの細胞の傷害が中心です。耐容線量も比較した部位の中で最も低い値です。
e.直腸。誤り。TD5/5は60 Gyで、比較した部位の中で高い側にあります。骨盤照射で直腸炎は起こりますが、小腸より感受性が高いとはいえません。
覚えるポイント
分裂が盛んで未分化な細胞ほど放射線に弱い。TD5/5(全体積)は小腸40 Gy<胃50 Gy<食道55 Gy<直腸60 Gy。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Radiation Exposure and Contamination – MSD Manual Professional Edition
- Radiation-induced gastrointestinal (GI) syndrome as a function of age
- 放射線治療計画ガイドライン 付表1 通常分割照射における正常組織の耐容線量(日本放射線腫瘍学会)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。