第104回医師国家試験 E5(2010年)
正答:a
問題
母体感染の病原体と対応の組合せで正しいのはどれか。
a.B型肝炎ウイルス ── 児へのワクチン投与
b.パルボウイルスB19 ── 人工妊娠中絶
c.B群レンサ球菌〈GBS〉 ── 母体へのセフェム系抗菌薬投与
d.サイトメガロウイルス ── 胎児輸血
e.ヒトT細胞白血病ウイルス〈HTLV-1〉 ── 帝王切開
正答の理由
公式正答はaです。現行の標準(MSD)では、HBs抗原陽性の母から生まれた児に、出生後12時間以内にHBIGとB型肝炎ワクチン初回を投与して垂直感染を予防します。他の肢は病原体と対応がずれています。
各選択肢の検討
a.B型肝炎ウイルス ── 児へのワクチン投与。正しい。実際の予防はHBIGとワクチンの併用で、ワクチン単独ではありませんが、組合せとして成立します。
b.パルボウイルスB19 ── 人工妊娠中絶。誤り。母体感染後の胎児死亡リスクは約6%(妊娠初期ほど高く、第1三半期で最大18%)で、多くの妊娠は継続します。対応の中心は胎児貧血・胎児水腫の評価と胎児輸血などの治療であり、中絶と組み合わせるのは適切ではありません。
c.B群レンサ球菌〈GBS〉 ── 母体へのセフェム系抗菌薬投与。誤り(公式キー)。分娩時予防の第一選択はペニシリンGやアンピシリンです。セファゾリンは低リスクのペニシリンアレルギーの代替であり、標準の対応ではありません。
d.サイトメガロウイルス ── 胎児輸血。誤り。胎児輸血は重度胎児貧血の治療で、パルボウイルスB19で用いられる対応です。CMVでは症候性新生児へのガンシクロビルやバルガンシクロビルが記載されています。
e.ヒトT細胞白血病ウイルス〈HTLV-1〉 ── 帝王切開。誤り。主な母子感染経路は母乳で、厚生労働科学研究班のマニュアルも経母乳感染を防ぐことを唯一有効な予防法としています。対策は栄養方法の選択であり、同マニュアルの予防法に帝王切開は挙げられていません。
覚えるポイント
HBV=児にHBIG+ワクチン、パルボB19の胎児貧血=胎児輸血、GBS=分娩時ペニシリン、HTLV-1=母乳対策。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Neonatal Hepatitis B Virus (HBV) Infection – MSD Manual Professional Edition
- Erythema Infectiosum (Parvovirus B19 Infection) – MSD Manual Professional Edition
- Intrauterine transfusion in monochorionic twins with parvovirus B19 infection: Evidence of intertwin blood exchange
- Antibiotic Prophylaxis and Treatment of Neonatal Group B Streptococcus Disease in the Era of Antimicrobial Resistance
- Congenital and Perinatal Cytomegalovirus Infection (CMV) – MSD Manual Professional Edition
- HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)|厚生労働省
- HTLV-1母子感染予防対策マニュアル(第2版)(厚生労働科学研究班)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。