第104回医師国家試験 D41(2010年)
正答:c
問題
36歳の男性。1か月前からの右膝関節の疼痛と腫脹とを主訴に来院した。右膝のエックス線写真(別冊No. 14A)と生検組織のH-E染色標本(別冊No. 14B)とを別に示す。
考えられるのはどれか。
a.類骨骨腫
b.骨芽細胞腫
c.骨巨細胞腫
d.軟骨芽細胞腫
e.非骨化性線維腫


正答の理由
30歳代の膝周囲の疼痛・腫脹で、右膝の正面エックス線写真では脛骨外側顆に、関節面直下から骨幹端へ及ぶ境界明瞭な透亮像があり、H-E標本では多数の多核巨細胞が単核細胞の間に散在します。年齢・骨端を含む部位・組織像から骨巨細胞腫を考えます。局所再発しやすく、まれに肺転移するため、胸部の評価も行います。公式正答はcです。
画像の見方
正面像で脛骨外側顆(関節面直下〜骨幹端)に薄い硬化縁を伴う透亮像、組織で単核細胞の間に多数の多核巨細胞が散在する。
各選択肢の検討
a.類骨骨腫。誤り。小さな透亮巣(ナイダス)を硬化帯が囲む像が特徴で、夜間に強くNSAIDsで軽快する痛みが典型です。5〜25歳に多く、関節面に及ぶ透亮像と巨細胞の多い組織像には合いません。
b.骨芽細胞腫。誤り。組織は類骨骨腫と同じ類骨形成性の腫瘍で、脊椎後方成分などに生じる稀な腫瘍です。提示標本の主体は類骨形成ではなく多核巨細胞です。
c.骨巨細胞腫。正しい。20〜30歳代の長管骨の骨端〜骨幹端に生じる膨張性の溶骨性病変で、単核の間質細胞に多核巨細胞が混在する組織像が特徴です。年齢・部位・組織のいずれも合致します。
d.軟骨芽細胞腫。誤り。骨端に生じますが多くは20歳未満で、硬化縁を伴う透亮像の内部に石灰化を伴います。36歳という年齢が合いません。
e.非骨化性線維腫。誤り。皮質に接して偏在する境界明瞭な線維性病変で、多くは小さく無症状のまま偶然に見つかります。関節面近くの症候性病変には合いません。
覚えるポイント
骨巨細胞腫は「20〜30歳代・骨端を含む溶骨性病変・多核巨細胞」。局所再発と肺転移に注意する。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Benign Bone Tumors and Cysts
- Malignancy in Giant Cell Tumor of Bone: A Review of the Literature
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。