第104回医師国家試験 D40(2010年)
正答:d
問題
8歳の男児。跛行を主訴に母親に伴われて来院した。6か月前から運動時に左股関節の疼痛があり、3か月前から歩行時に跛行があることに母親が気付いた。既往歴に特記すべきことはない。明らかな低身長や肥満を認めない。左股関節には軽度の可動域制限があるが、発赤や熱感はない。股関節エックス線写真(別冊No. 13)を別に示す。
この病態で正しいのはどれか。
a.軟骨代謝の異常
b.細菌感染後の骨変化
c.成長ホルモンの分泌異常
d.大腿骨近位骨端部の血行障害
e.骨系統疾患に伴う骨の成長障害

正答の理由
5〜10歳の男児に多い緩徐な跛行と股関節痛で、感染徴候がなく、写真では写真右側の大腿骨頭の扁平化と分節化があり、通常の表示なら問題文の左股関節に一致します(本解説の読影)。Perthes病で、大腿骨頭骨端の特発性無腐性壊死が本態です。血行障害と理解するのが公式正答dです。血行が途絶える原因そのものは特発性で、完全には解明されていません。
画像の見方
写真右側の大腿骨頭が扁平化し分節化している。左右表示はないが、通常の表示(写真右が患者の左)なら問題文の左股関節に一致する。中央の高吸収は生殖腺防護具と思われる(本解説の読影)。
各選択肢の検討
a.軟骨代謝の異常。誤り。軟骨そのものの代謝異常が本態ではなく、骨端部の壊死です。家族例でⅡ型コラーゲン遺伝子の変異が報告されていますが、本例の説明にはなりません。両側例や家族例では多発性骨端異形成症などの遺伝性骨系統疾患を除外します。
b.細菌感染後の骨変化。誤り。発赤や熱感がなく、感染を示唆する経過もありません。Perthes病は無腐性の壊死で、細菌感染によりません。
c.成長ホルモンの分泌異常。誤り。明らかな低身長がなく、成長ホルモンの異常を疑う所見はありません。Perthes病の本態ともされていません。
d.大腿骨近位骨端部の血行障害。正しい。公式正答。Perthes病は小児の大腿骨頭骨端の虚血性壊死とも呼ばれ、MSDは特発性の無腐性壊死としています。経過とともに扁平化や分節化が現れます。
e.骨系統疾患に伴う骨の成長障害。誤り。骨系統疾患は両側性や家族例で鑑別として除外すべき病態です。本例は片側の症状で既往もなく、低身長もありません。
覚えるポイント
5〜10歳の男児の跛行と大腿骨頭の扁平化・分節化はPerthes病。本態は骨端の無腐性壊死。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Legg-Calvé-Perthes Disease
- Progress in understanding Legg–Calvé–Perthes disease etiology from a molecular and cellular biology perspective
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。