第104回医師国家試験 D28(2010年)
正答:b・c・d
問題
56歳の男性。原発性肺癌(腺癌)のために抗癌化学療法を受けている。原発巣の大きさは不変であったが、徐々に心拡大をみるようになった。超音波検査で多量の心嚢液が認められた。患者は徐々に前胸部苦悶感を訴えるようになった。
この病態でみられるのはどれか。3つ選べ。
a.徐脈
b.奇脈
c.脈圧低下
d.頸静脈怒張
e.収縮期血圧上昇
正答の理由
肺癌に伴う癌性心膜液が増え、症状が出てきた経過で、心タンポナーデを考えます。心膜腔の圧上昇で心室が十分に拡張できず、静脈圧は上がる一方で心拍出量と動脈圧が下がります。公式正答はbcdです。
各選択肢の検討
a.徐脈。誤り。心拍出量の低下を補うため頻脈になります。資料も頻脈を挙げています。
b.奇脈。正しい。公式正答の一つ。吸気時に収縮期血圧が10 mmHgを超えて低下する奇脈は、重症の心タンポナーデのほぼ全例にみられるとされます。
c.脈圧低下。正しい。公式正答の一つ。1回拍出量が減るため収縮期血圧が下がり、脈圧は狭くなります。心タンポナーデの症例解説にも、脈圧の低下と奇脈がみられうると記載されています。
d.頸静脈怒張。正しい。公式正答の一つ。静脈還流が妨げられ、頸静脈は著明に怒張します。心原性ショックと似た像の中で鑑別点となります。
e.収縮期血圧上昇。誤り。心タンポナーデでは体血圧は低下します。収縮期血圧の上昇は病態と逆です。
覚えるポイント
心タンポナーデは頻脈、低血圧、奇脈、頸静脈怒張。悪性腫瘍の心嚢液貯留で考える。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。