感染性心内膜炎の合併症|第104回医師国家試験D25

第104回医師国家試験 D25(2010年)

正答:e

問題

34歳の女性。3週前から持続する発熱と易疲労感とを主訴に来院した。体温37.6℃。脈拍92/分、整。血圧136/72 mmHg。心尖部で3/6度の収縮期雑音を聴取する。赤沈62 mm/1時間。血液所見:赤血球382万、Hb 11.0 g/dl、Ht 31 %、白血球9,800、血小板10万。CRP 11.8 mg/dl。来院時の心エコー図(別冊No. 6A、B)を別に示す。

合併する病態として考えにくいのはどれか。

a.脳梗塞

b.脳出血

c.肺うっ血

d.貧血の進行

e.低γ-グロブリン血症

別冊No.6A 拡張期の心エコー図(傍胸骨長軸像)。左室、左房、大動脈の表示があり、僧帽弁付近に塊状エコーがみられる。
別冊No.6A / 出典:厚生労働省・第104回D別冊(原本の該当ページ)
別冊No.6B 収縮期のカラードプラ心エコー図。左室から左房へ向かうモザイク状の逆流シグナルがみられる。
別冊No.6B / 出典:厚生労働省・第104回D別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

持続する発熱、新たな心尖部収縮期雑音、炎症反応の上昇に、心エコーの弁付着物を疑う像と僧帽弁逆流を合わせ、亜急性の感染性心内膜炎を考えます。感染が持続すると免疫グロブリンは増加する方向に動くため、低γ-グロブリン血症は考えにくく、公式正答はeです。

画像の見方

No.6Aで僧帽弁付近の塊状エコー(疣贅を疑う、本解説の読影)、No.6Bで収縮期に左房内へのモザイク血流(僧帽弁逆流)を認める。

各選択肢の検討

a.脳梗塞。合併しうる(正答ではない)。左心系の疣贅は全身に塞栓し、中枢神経は好発部位です。患者の約35%に中枢神経症状があり、脳卒中も含まれます。

b.脳出血。合併しうる(正答ではない)。感染性動脈瘤の破裂や脳梗塞の出血性変化で頭蓋内出血を起こします。総説では、出血性の神経合併症は脳実質に多く、くも膜下出血も起こりうるとされています。

c.肺うっ血。合併しうる(正答ではない)。疣贅による弁破壊で僧帽弁逆流が高度になると、左房圧が上がり肺うっ血や心不全に進みます。

d.貧血の進行。合併しうる(正答ではない)。持続感染で正球性正色素性貧血がよくみられ、本例もHb 11.0 g/dlです。

e.低γ-グロブリン血症。考えにくい(正答)。資料の検査所見に免疫グロブリンの増加が挙げられています。慢性感染では多クローン性に増えるのが通常で、低下は合併症として想定しません。

覚えるポイント

感染性心内膜炎は塞栓、感染性動脈瘤、弁破壊による心不全、貧血を起こし、免疫グロブリンは増える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

第104回の一覧へ戻る

タイトルとURLをコピーしました