第104回医師国家試験 D2(2010年)
正答:b
問題
遺伝性非ポリポーシス大腸癌で正しいのはどれか。
a.予後が悪い。
b.若年で発症する。
c.左側結腸に好発する。
d.APC遺伝子異常がある。
e.他臓器癌の発生頻度が低い。
正答の理由
遺伝性非ポリポーシス大腸癌(現在の呼称はLynch症候群)は、ミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異による常染色体優性遺伝の疾患です。若年発症、同時性・異時性の多発、右側結腸優位、子宮内膜癌などの大腸外腫瘍が特徴です。したがってbが正しい記述です。
各選択肢の検討
a.予後が悪い。誤り。Lynch症候群に伴う大腸癌は、散発性のミスマッチ修復欠損大腸癌との比較で生存が良好だったとする報告があり、予後不良とはいえません。
b.若年で発症する。正しい。早い発症年齢がLynch症候群の特徴で、若年の大腸癌や子宮内膜癌の家族歴が遺伝学的検査のきっかけになります。
c.左側結腸に好発する。誤り。大腸癌の60〜70%は右側結腸に発生します。S状結腸鏡では足りず全大腸内視鏡を選ぶ理由です。
d.APC遺伝子異常がある。誤り。原因はMLH1・MSH2などのミスマッチ修復遺伝子です。APC遺伝子変異は家族性大腸腺腫症の原因です。
e.他臓器癌の発生頻度が低い。誤り。子宮内膜、卵巣、胃、小腸、腎盂・尿管、肝胆道系、膵、脳などの腫瘍が増えます。
覚えるポイント
Lynch症候群は若年発症・右側優位・子宮内膜癌などの大腸外癌。原因はミスマッチ修復遺伝子で、APCではない。
出典・参考資料
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。