第104回医師国家試験 D1(2010年)
正答:a・c
問題
オージオグラム(別冊No.1)を別に示す。
障害部位として考えられるのはどれか。2つ選べ。
a.鼓膜
b.血管条
c.耳小骨
d.蝸牛神経
e.有毛細胞

正答の理由
骨導閾値が保たれ、○(通常の記号法で右耳)の気導閾値だけが約45〜60dBに低下した、気骨導差のある聴力像で、伝音難聴です。骨導は外耳・中耳を迂回して内耳以降を調べるため、骨導が正常なら内耳と神経は保たれていると読みます。音を伝える経路にある鼓膜と耳小骨が障害部位になります。
画像の見方
125〜8,000Hzの順に、○を結ぶ実線の気導閾値は約50・55・55・50・45・45・60dB、×を結ぶ破線の気導閾値は約15・15・20・20・15・15・10dB。[ と ] の骨導閾値は250〜4,000Hzで約15〜20dBに保たれ、○の気導と骨導の差は約30〜40dBある。図に凡例はないが、ASHAの記号法(○右気導、×左気導、[ 右のマスキング骨導、] 左のマスキング骨導)に従えば右耳の所見である(読み値は目視の概数)。
各選択肢の検討
a.鼓膜。正しい。鼓膜の病変は音の伝達を妨げる伝音難聴の原因で、骨導が保たれ気導だけが低下する本図に合います。
b.血管条。誤り。血管条は蝸牛外側壁にある内耳の構造で、ここの障害は感音難聴の原因になります。感音難聴なら骨導閾値も低下するはずです。
c.耳小骨。正しい。耳小骨の固定や連鎖の異常は中耳の伝音障害で、気骨導差を生みます。
d.蝸牛神経。誤り。第8脳神経の障害は後迷路性の感音難聴で、骨導でも閾値が上がります。本図の骨導は保たれています。
e.有毛細胞。誤り。有毛細胞の障害は感音難聴の代表で、気導と骨導がともに低下するため、気骨導差の大きい本図とは合いません。
覚えるポイント
骨導正常+気導低下=気骨導差あり=伝音難聴。障害部位は外耳道・鼓膜・耳小骨などの音の通り道。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Hearing Loss (MSD Manual Professional Edition)
- Audiometric Symbols (ASHA Guidelines)
- Role of the Stria Vascularis in the Pathogenesis of Sensorineural Hearing Loss: A Narrative Review
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。