第104回医師国家試験 B38(2010年)
正答:a・b
問題
肝硬変患者に定期的に行うのはどれか。2つ選べ。
a.腹部ダイナミック CT
b.上部消化管内視鏡検査
c.下部消化管内視鏡検査
d.磁気共鳴胆管膵管撮影〈MRCP〉
e.ポジトロンエミッション断層撮影〈PET〉
正答の理由
肝硬変の定期検査の主な目的は、肝細胞癌と胃食道静脈瘤を早く見つけることです。静脈瘤には上部消化管内視鏡を用います。肝癌サーベイランスの基本は超音波と腫瘍マーカーで、どちらも選択肢になく、選択肢のうち肝癌の検出に用いるのがダイナミックCTです。ただし確認した2013年版指針でも定期CT/MRIは超高危険群のoptionで、全例に行う検査ではありません。また、非選択的β遮断薬で治療中の代償性肝硬変では静脈瘤スクリーニングの内視鏡を要しないとする記載もあります。2010年当時の指針は読んでおらず、公式正答と現行の管理は分けて理解します。
各選択肢の検討
a.腹部ダイナミック CT。正しい(公式正答)。多血性の肝細胞癌を動脈相の濃染で検出できます。日本肝臓学会の2013年版アルゴリズムでは、B型・C型肝硬変の超高危険群に6〜12か月ごとのCT/MRIをoptionとして示し、超音波で結節を見つけた例の精査にもdynamic CT/MRIを用います。
b.上部消化管内視鏡検査。正しい。門脈圧亢進に伴う胃食道静脈瘤を監視します。β遮断薬を使えない例では2〜3年ごとの内視鏡が勧められ、中等度以上の静脈瘤は予防的な結紮術の対象となります。
c.下部消化管内視鏡検査。誤り。確認した資料の肝硬変の定期監視は肝癌と静脈瘤が対象で、この検査は含まれていません。
d.磁気共鳴胆管膵管撮影〈MRCP〉。誤り。胆管や膵管を描出し、総胆管結石などの評価に優れる検査です。確認した資料の肝硬変の定期監視には含まれていません。
e.ポジトロンエミッション断層撮影〈PET〉。誤り。FDG-PET/CTは高分化の肝細胞癌でFDGの集積が低いなど感度に限界があり、主要な指針で肝癌のサーベイランスの通常検査に含まれていないとされます。
覚えるポイント
肝硬変の定期検査は肝癌(超音波+腫瘍マーカー、必要に応じてdynamic CT/MRI)と静脈瘤(上部内視鏡)。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- 肝細胞癌サーベイランスアルゴリズム・診断アルゴリズムの解説(日本肝臓学会 肝癌診療ガイドライン2013年版)
- 図1 肝細胞癌サーベイランスアルゴリズム・診断アルゴリズム(日本肝臓学会 肝癌診療ガイドライン2013年版)
- Cirrhosis – MSD Manual Professional Edition
- Imaging Tests of the Liver and Gallbladder – MSD Manual Professional Edition
- Prognostic significance of pretreatment 18F-FDG PET/CT in hepatocellular carcinoma: A systematic review and meta-analysis (Min ほか)
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。