第104回医師国家試験 B31(2010年)
正答:c
問題
体血管抵抗の低下によって心筋虚血に陥る可能性が最も高いのはどれか。
a.僧帽弁狭窄
b.僧帽弁閉鎖不全
c.大動脈弁狭窄
d.大動脈弁閉鎖不全
e.大動脈弁置換術後
正答の理由
大動脈弁狭窄では1回拍出量が限られ、体血管抵抗が大きく下がると灌流圧が急に低下します。左室肥大と冠血流動態の変化により、もともと虚血を起こしやすい状態です。公式正答はcです。脊髄くも膜下麻酔や硝酸薬で注意される理由です。5病態の危険度を数値で比べた資料はなく、ほかの肢の順位づけは病態からの判断です。
各選択肢の検討
a.僧帽弁狭窄。誤り。僧帽弁狭窄の障害は左房から左室への流入で、圧負荷で左室が求心性に肥大するASとは病態が異なります。血圧低下が望ましいわけではありませんが、体血管抵抗の低下で虚血に陥りやすい病態としてはASを選びます。
b.僧帽弁閉鎖不全。誤り。僧帽弁閉鎖不全では後負荷が下がると前方への拍出が増え逆流量は減ります。ニトロプルシドなどで後負荷を下げる治療が行われるのはそのためです。
c.大動脈弁狭窄。正しい。固定した流出路狭窄で拍出量を増やせないまま拡張期圧と灌流圧が下がり、肥大心筋の酸素需要とのバランスが崩れます。MSDも、血圧を下げる薬を慎重に使うよう記載しています。
d.大動脈弁閉鎖不全。誤り。大動脈弁閉鎖不全では拡張期血圧が低下しますが、MSDは冠動脈疾患のない患者で胸痛を起こす人は比較的少ないと記載し、労作性狭心症が多いとされるASと対照的です。
e.大動脈弁置換術後。誤り。弁置換で弁の狭窄が解除されれば、ASのように狭窄で拍出が制限される状態ではなくなります。
覚えるポイント
ASは拍出量が固定され肥大心筋は虚血に弱い。体血管抵抗の低下・低血圧を避ける。MRでは後負荷低下がむしろ治療になる。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第104回医師国家試験問題および正答
- Aortic Stenosis
- Noncardiac surgery in two severe aortic stenosis patients: General or epidural anesthesia?
- Aortic Regurgitation
- Mitral Regurgitation
- Mitral Stenosis
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。