肺高血圧症の身体所見|第104回医師国家試験A29

第104回医師国家試験 A29(2010年)

正答:b

問題

19歳の女性。動悸と胸痛とを主訴に来院した。生来健康であったが、1か月前から足のむくみを自覚するようになった。1週前にバスに乗り遅れそうになり、50 mほど走ったところで失神した。来院時の12誘導心電図(別冊No.11A)と収縮期の心エコー図(別冊No.11B)とを別に示す。

この疾患でみられるのはどれか。

a.喘鳴

b.頸静脈怒張

c.coarse crackles

d.発作性夜間呼吸困難

e.肺動脈性Ⅱ音の減弱

別冊No.11A 12誘導心電図。右軸偏位の形で、V1のR波が高く、V5・V6まで深いS波が続く。
別冊No.11A / 出典:厚生労働省・第104回A別冊(原本の該当ページ)
別冊No.11B 収縮期の心エコー図。拡大した右室が小さな左室を圧排している。
別冊No.11B / 出典:厚生労働省・第104回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

若年女性の労作時失神と下腿浮腫があり、エコーで右室が大きく左室が圧排されて小さいので、肺高血圧症による右心不全を考えます。右室の後負荷が増して心拍出量が低下し、労作時の失神が起こります。右心不全の徴候として頸静脈怒張がみられ、公式正答はbです。肺の聴診は通常正常です。

画像の見方

Aでは、Ⅰ誘導でS波が深くⅢ誘導でR波が高い右軸偏位の形で、V1でR波が高く、V5・V6まで深いS波が続きます。Ⅱ誘導のP波も高めで、右室肥大と右房負荷を示唆します。Bでは右室が大きく、左室は中隔側から押されて小さくみえます。

各選択肢の検討

a.喘鳴。誤り。気道の狭窄音です。本症では肺の聴診は通常正常です。

b.頸静脈怒張。正しい。右室不全で右房圧が上がるために生じ、下腿浮腫や肝うっ血と同じ機序です。

c.coarse crackles。誤り。肺の副雑音で、肺血管の病気である本症では肺の聴診は通常正常です。

d.発作性夜間呼吸困難。誤り。起坐呼吸とともに心不全を示す呼吸困難の型で、左心系の負荷で肺がうっ血するときの症状です。右心系の負荷が主体の本例の病態とは異なります。

e.肺動脈性Ⅱ音の減弱。誤り。肺動脈圧が高いと肺動脈弁の閉鎖音は強くなります。亢進が正しく、減弱はしません。

覚えるポイント

労作時失神と右室拡大・左室圧排は肺高血圧症を疑う。頸静脈怒張とⅡp亢進、肺音は正常。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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