Stanford B型大動脈解離の合併症|第104回医師国家試験A23

第104回医師国家試験 A23(2010年)

正答:e

問題

75歳の女性。突然の背部痛を主訴に来院した。高血圧のため投薬を受けている。胸部造影CT(別冊No.5)を別に示す。

合併する病態として考えにくいのはどれか。

a.喀血

b.腸管壊死

c.急性腎不全

d.下肢急性虚血

e.大動脈弁閉鎖不全

別冊No.5 胸部造影CT。上行大動脈に隔壁はなく、太い下行大動脈に大きな円形の造影腔と、隔壁で隔てられた三日月状の細い造影腔がある。
別冊No.5 / 出典:厚生労働省・第104回A別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

この断面では上行大動脈に解離腔がなく、下行大動脈に拡大した二腔様の造影域がみられ、突然の背部痛と高血圧歴を合わせるとStanford B型の大動脈解離を考えます。解離は分枝の血流障害により腸管・腎・下肢の虚血を起こします。一方、大動脈弁閉鎖不全は上行大動脈に及ぶ近位の解離で起こるため、この症例では考えにくく、eが公式正答です。ただし断面1枚で解離の全範囲は確定できません。

画像の見方

肺動脈分岐レベルの断面です。上行大動脈は円形で隔壁はみられません。下行大動脈は太く、大きな円形の造影腔の内側に、線状の隔壁で隔てられた三日月状の細い造影腔がみえ、外側には低吸収の縁取りがあります。どちらが真腔かはこの1枚では断定しません。

各選択肢の検討

a.喀血。誤り(合併し得る)。Stanford B型解離で喀血を呈した症例が報告されています。機序は不明な点が残りますが、気管支や肺血管など隣接組織への侵食が推定されています。大動脈気管支瘻(報告例は胸部大動脈瘤)でも喀血は重要な警告徴候です。頻度は高くありません。

b.腸管壊死。誤り(合併し得る)。解離腔が腸間膜動脈の血流を妨げると腸管の虚血・梗塞を起こします。

c.急性腎不全。誤り(合併し得る)。腎動脈の血流障害により乏尿や無尿、腎機能障害を起こします。

d.下肢急性虚血。誤り(合併し得る)。解離が腹部大動脈以遠へ進むと四肢動脈が閉塞し、脈拍欠損や末梢虚血を起こします。

e.大動脈弁閉鎖不全。正しい(最も考えにくい)。近位の解離で弁輪部が障害されて生じる合併症で、上行大動脈に解離のないB型では通常起こりません。

覚えるポイント

大動脈弁閉鎖不全は上行大動脈に及ぶA型の合併症。B型では分枝の血流障害と破裂・穿破を考える。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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