胎児異常を伴う切迫早産の処置|第104回医師国家試験A20

第104回医師国家試験 A20(2010年)

正答:e

問題

30歳の女性。妊娠27週。腹痛を主訴に来院した。超音波断層法で羊水過多症と胎児発育遅延とが認められ、さらに胎児心奇形と胎児頭蓋内の異常とを指摘された。内診で子宮口は2cm開大しており、子宮収縮が3分おきにみられる。出血はなく、破水はしていない。

処置として適切なのはどれか。

a.羊水穿刺

b.帝王切開

c.人工妊娠中絶

d.McDonald手術

e.子宮収縮抑制薬投与

正答の理由

規則的な子宮収縮と子宮口開大があり、破水も出血もない妊娠27週の切迫早産です。胎児異常があっても、まず子宮収縮を抑えて時間を稼ぐのが公式正答のeです。羊水過多、発育遅延、心奇形は18トリソミーなどの染色体異常を疑わせますが、この時点では確定していません。予後が厳しい疾患が確定すれば方針は変わりうるので、検査と家族への説明は並行して考えます。致死的な胎児異常が確定している場合に収縮抑制を行うかどうかは、確認した本文では扱われておらず、ここでは断定しません。

各選択肢の検討

a.羊水穿刺。公式正答ではない。複数の超音波異常があれば染色体検査の適応にはなりますが、収縮が続いている今の第一の処置とはされません。なお羊水除去は、羊水過多の症状が強い場合や痛みを伴う早産期の収縮がある場合に治療に含まれることがあり、この例で全く検討の余地がないわけではありません。

b.帝王切開。誤り。母体や胎児の緊急適応を示す所見はなく、出血も破水もありません。分娩様式は通常の産科適応で決め、胎児異常だけで直ちに帝王切開にはしません。

c.人工妊娠中絶。誤り。母体保護法の中絶は胎児が母体外で生命を保続できない時期に限られ、通知上の基準は通常満22週未満です。妊娠27週では選択できません。

d.McDonald手術。誤り。頸管縫縮術は陣痛のない頸管無力症に行うもので、陣痛や感染徴候がある場合は対象にしません。この例は3分おきの収縮があります。

e.子宮収縮抑制薬投与。正しい。頸管が開大していても収縮抑制薬で通常48時間以上は分娩を遅らせることができ、その間に副腎皮質ステロイドの投与なども可能になります。

覚えるポイント

妊娠22週以降は中絶できない。収縮のある切迫早産に頸管縫縮はせず、収縮抑制と胎児評価を進める。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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