慢性硬膜下血腫の処置|第103回医師国家試験H28

第103回医師国家試験 H28(2009年)

正答:a

問題

70歳の男性。頭痛を主訴に来院した。2か月前に飲酒後転倒し前頭部を打撲した。2週前から頭痛があり、左手足の脱力が徐々に進行している。意識は清明。軽度の左不全片麻痺を認める。頭部単純CT(別冊No.3)を別に示す。

処置として適切なのはどれか。

a.穿頭ドレナージ

b.脳室ドレナージ

c.脳槽ドレナージ

d.膿瘍ドレナージ

e.腰椎ドレナージ

別冊No.3 頭部単純CT横断像。側脳室と透明中隔は画像の右へ偏位し、画像左の大脳半球は脳溝が不明瞭。画像右上の前頭部の頭蓋骨内側に低吸収域がある。
別冊No.3 / 出典:厚生労働省・第103回H別冊(原本の該当ページ)

正答の理由

高齢の飲酒者が軽い頭部打撲の数週後から頭痛と片麻痺を徐々に起こす経過は、慢性硬膜下血腫に典型的です。CTでも正中偏位があり、血腫を減らす処置が必要です。穿頭で血腫を排出するドレナージは比較的簡便で有効な方法です。公式正答はaです。

画像の見方

別冊No.3:側脳室と透明中隔が画像の右へ偏位し、画像左の大脳半球は脳溝が不明瞭で圧排されています。通常の表示なら画像左は患者の右で、左不全片麻痺と向きが合います。画像左の硬膜下腔の貯留は脳と近い吸収値で境界がはっきりせず、等吸収域の血腫を考えますが、この1枚で範囲は断定しません。画像右上の前頭部には頭蓋骨内側の低吸収域があり、性状の断定はしません。

各選択肢の検討

a.穿頭ドレナージ。頭蓋骨に小孔を開けて血腫を排出します。慢性硬膜下血腫の主要な治療法の一つです。

b.脳室ドレナージ。急性水頭症などで脳室の髄液を排出する処置です。本例の圧迫の原因は硬膜下の貯留で、脳室から髄液を抜いても血腫は減りません。

c.脳槽ドレナージ。動脈瘤性くも膜下出血の手術に関連して、脳槽から血液成分や髄液を排出する目的で報告されている処置です。本例の血腫は脳槽にありません。

d.膿瘍ドレナージ。脳膿瘍への吸引や排膿です。本例に発熱や感染の情報はなく、脳実質内の膿瘍を示す所見もこの単純CTでは指摘しません。

e.腰椎ドレナージ。硬膜下血腫は減らせません。MSDは頭蓋内占拠性病変による頭蓋内圧亢進を腰椎穿刺の相対的禁忌とし、ヘルニアを誘発し得る腫瘤を画像で除外してから行うとしています。腰部から髄液を抜く点は同じなので、正中偏位のある本例では同様の危険を考えて避けます。

覚えるポイント

高齢・飲酒・数週前の軽い打撲に進行する片麻痺は慢性硬膜下血腫。血腫が等吸収でも正中偏位で気づき、穿頭する。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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