Sheehan症候群の副腎クリーゼ|第103回医師国家試験H23

第103回医師国家試験 H23(2009年)

正答:e

問題

40歳の女性。意識障害のため搬入された。3年前、第2子出産時に大量の出血があった。その後から無月経となり、2年前から陰毛が脱落してきた。1か月前から全身倦怠感を訴えていた。今朝、寝室から起きて来ないので、家族が見に行くと意識がもうろうとしていて呼びかけに反応がなかった。意識レベルはJCS Ⅱ-30。体温35.5℃。脈拍56/分、整。血圧100/54mmHg。血液生化学所見:血糖61mg/dl、Na 126mEq/l、K 4.1mEq/l、Cl 92mEq/l。

静脈路確保の後、静脈内投与すべきなのはどれか。

a.アトロピン

b.甲状腺ホルモン薬

c.女性ホルモン薬

d.ドパミン

e.副腎皮質ステロイド

正答の理由

分娩時の大量出血後の無月経と陰毛脱落からSheehan症候群による下垂体機能低下症を考えます。意識障害、低血糖、低Na、低体温、低めの血圧は副腎不全の急性増悪に合います。副腎クリーゼでは疑った時点でヒドロコルチゾンを静注し、遅れると致死的です。公式正答はeです。

各選択肢の検討

a.アトロピン。脈拍56/分は下垂体機能低下に伴う全身状態の一部と考えられ、副腎皮質ホルモンの欠乏に対する治療になりません。

b.甲状腺ホルモン薬。甲状腺機能低下も併存し得ますが、副腎皮質ホルモンの補充なしにレボチロキシンだけを始めると副腎クリーゼを起こしやすいとされます。ステロイドが先です。

c.女性ホルモン薬。無月経の長期管理では検討しますが、この意識障害と低血糖、低Naの救急治療にはなりません。

d.ドパミン。昇圧薬の適応を今の血圧だけで決める場面ではなく、原因である糖質コルチコイド欠乏を補いません。

e.副腎皮質ステロイド。ヒドロコルチゾン静注を直ちに行います。あわせてブドウ糖を含む生理食塩水で低血糖と循環血液量を補正します。

覚えるポイント

下垂体機能低下症の急変はステロイド先行。甲状腺ホルモン単独で始めない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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