第103回医師国家試験 H21(2009年)
正答:d
問題
28歳の男性。スキーで転倒し、右下肢痛を生じたため搬入された。右下肢のエックス線写真(別冊No.2A、B)を別に示す。
副子による固定範囲として適切なのはどれか。
a.(図a)
b.(図b)
c.(図c)
d.(図d)
e.(図e)



正答の理由
別冊No.2Bで脛骨骨幹の骨折があります。AOの解説(資源の限られた環境向け)は脛骨骨幹部骨折の副子を膝の上から足関節の下までとし、AAFPの解説は殿溝の直下から始める後方膝副子について、脛骨骨幹部損傷で足関節も止める場合は中足骨まで延ばすとしています。足部から膝を越えて大腿まで固定する図dがこれに合います。公式正答はdです。ただしAAFPの表には膝下の副子を挙げる記載もあるので、肢bの説明を参照してください。
画像の見方
問題冊子の選択肢図:矢印の範囲は、aが踵付近〜膝裏の手前、bが足趾先端の高さ〜膝裏の手前、cが踵付近〜膝を越えた大腿の途中、dが足趾先端の高さ〜膝を越えた大腿の途中、eが足趾先端の高さ〜大腿を越えて殿部で折れるところまで。別冊No.2A:股関節から膝上まで写り、大腿骨骨幹に明らかな骨折線は見えません。別冊No.2B:脛骨骨幹の中央より遠位に斜めの骨折と骨片の段差があります。同じ高さの腓骨に明らかな断裂は見えませんが、この1枚で腓骨骨折を否定はしません。
各選択肢の検討
a.図a。踵付近から膝の手前までで、足部も膝も含みません。足関節も膝関節も止まらず、副子の範囲として足りません。
b.図b。足部から膝の手前までで、足関節は含みますが膝を止めません。AAFPの表は中央〜遠位の脛骨骨折の副子に後方足関節副子(腓骨頭の少し下まで)も挙げており、臨床で全く使われない範囲とはいえません。本問は受傷直後で骨片に段差があり、AOの記載どおり膝を越えるdが公式正答です。
c.図c。膝は越えますが足部を含みません。AAFPは足関節を止めるなら中足骨まで含めるとしており、範囲が足りません。
d.図d。足部から膝を越えて大腿まで固定します。腫脹に対応できる副子は受傷初期の固定に向きます(AAFP、AAOS)。
e.図e。大腿を越えて殿部まで及びます。AAFPの後方膝副子は殿溝の直下から始まるもので、股関節まで含める必要はなく過剰です。
覚えるポイント
脛骨骨幹部骨折の初期副子は、足部から膝を越えて大腿まで。足関節を止めるなら中足骨まで含める。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Fracture management with limited resources (AO Surgery Reference, Tibial shaft)
- Splints and Casts: Indications and Methods (Am Fam Physician 2009)
- Tibial (Shinbone) Shaft Fractures – OrthoInfo – AAOS
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。