死期が迫った患者の家族への対応|第103回医師国家試験G32

第103回医師国家試験 G32(2009年)

正答:c

問題

死期が迫った患者の家族への対応として適切でないのはどれか。

a.予期悲嘆へのケア

b.死の受容への援助

c.抗うつ薬の予防投与

d.死別後の悲嘆へのケア

e.悲しみを表現する場の確保

正答の理由

悲嘆は喪失に対する正常な反応で、家族には死別の前後を通じた心理的な支援を行います。死別に伴ううつ症状への薬物療法でさえ是非が議論されており、抗うつ薬で改善を示した試験は、うつ症状のある人が対象です。症状のない家族への予防投与を勧める記載は確認した資料になく、WHOの指針は精神疾患のない死別者にベンゾジアゼピンを勧めていません(抗うつ薬の予防投与を名指しで否定した本文は未確認です)。公式正答はcです。

各選択肢の検討

a.予期悲嘆へのケア。適切。予期悲嘆は死が迫った人の家族によく使われる概念で、本人と周囲の苦痛を強めることがあります。

b.死の受容への援助。適切。受容が進むと不安、抑うつ、予期悲嘆が減るとされ、受容を扱う心理的支援が有用な場合があります。

c.抗うつ薬の予防投与。不適切で、これが正解です。薬の検討対象は抑うつ症状がある場合で、正常な悲嘆過程への投薬は必要ないとする意見もあります。症状のない家族への予防投与を支える根拠は確認できませんでした。

d.死別後の悲嘆へのケア。適切。死別後も経過を見て、遷延する複雑性悲嘆には心理社会的治療を行います。正常な悲嘆に介入が必要かどうかには議論があります。

e.悲しみを表現する場の確保。適切。悲しみの表し方は個人や文化で異なります。家族の結束とコミュニケーションを高める支援の報告があり、表現の場を確保することはその方向に沿います。資料が「場の確保」を名指ししているわけではありません。

覚えるポイント

家族には予期悲嘆から死別後まで心理的に支える。症状のない家族に抗うつ薬を予防投与する根拠はない。

出典・参考資料

問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。

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