第103回医師国家試験 E4(2009年)
正答:a・c
問題
老人性難聴の患者への対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
a.近づいて普通の大きさの声で話す。
b.補聴器のボリュームをできるだけ上げる。
c.患者の興味のある話題を選んで話しかける。
d.高い音のチャイムで食事の時間を知らせる。
e.音声を介したコミュニケーションを避ける。
正答の理由
老人性難聴は有毛細胞と神経の障害が重なる感音難聴で、高音域ほど強く障害されます。音を大きくするだけでは言葉の聞き取りが改善するとは限らず、大きい音ほど過大に感じる補充現象も問題になります。近い距離で顔を見せ、叫ばずゆっくりはっきり話し、何の話かが分かるように会話を支えることが対応の基本です。公式正答はacです。
各選択肢の検討
a.近づいて普通の大きさの声で話す。正しい。顔と口元が見える約90〜180cmの距離で話すことが勧められます。資料は普通より大きい声も可としつつ叫ばないよう述べており、声量を上げるより距離とゆっくり明瞭な発話を優先します。
b.補聴器のボリュームをできるだけ上げる。誤り。感音難聴の補充現象では、大きな音が過大に感じられます。高音域の難聴では単純な増幅が歪んだ言葉を大きくするだけのこともあり、難聴の型に合わせた調整が必要です。
c.患者の興味のある話題を選んで話しかける。正しい。話題が分かっていると聞き取りを文脈で補いやすく、会話への参加も保てると考えられます。公的資料は話題が変わったら知らせ、会話に加えるよう勧めています(興味のある話題を選ぶこと自体を述べた資料ではありません)。
d.高い音のチャイムで食事の時間を知らせる。誤り。加齢性難聴では低音より高音域が強く障害されるため、高い音の合図は届きにくい方法です。
e.音声を介したコミュニケーションを避ける。誤り。環境や話し方を整えて会話を続け、患者を会話から外さないことが勧められます。補聴器も選択肢です。
覚えるポイント
老人性難聴は高音から障害され補充現象を伴う。叫ばず、近くで顔を見せ、ゆっくり明瞭に話す。
出典・参考資料
- 厚生労働省:第103回医師国家試験問題および正答
- Talking to someone with hearing loss (MedlinePlus)
- Age-Related Hearing Loss (Presbycusis) | NIDCD
- Hearing Loss – MSD Manual Professional Edition
問題と正答の出典は厚生労働省です。解説は本サイトが作成した学習用の解説で、厚生労働省の公式解説ではありません。出題時点の設問に沿って説明しています。